食品表示の最新動向 ~最近の食品表示基準改正と今後の動きについて~


 2025年11月12日に開催しました「食品表示の最新動向と業務効率化セミナー」の基調講演「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」をレポートいたします。

 2025年3月に食品表示基準や、期限表示・栄養表示に関する最新ガイドラインが改定されました。

 本セミナーでは、食品表示の最新動向を踏まえ、食品業界に求められる対応と今後の見通し、また今後の制度改正の検討状況などの最新情報について、一般社団法人Food Communication Compass 代表 森田 満樹 氏に解説いただきました。

衛生事項の改正と検討状況

食品表示法公布後の法改正、基準改正等の動向

 2015年に食品表示法が施行されて以来、20年に栄養成分表示、22年に原料原産地表示、23年に遺伝子組み換え食品表示、24年に添加物不使用表示とほぼ毎年のように経過措置期間後に完全義務化されました。

 このような五月雨式の表示改正は事業者の負担にもなり、25年3月の個別品目ルールの見直しを伴う食品表示基準の改正には、5年間の経過措置が設けられ2030年に完全適用になります。翌年令和7年度の食品表示基準改正は4年間の経過措置が設けられ、2030年3月末に揃えられています。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 消費者庁が令和5年度から開催している食品表示懇談会では、今後の食品表示の方向性について検討を行っています。その中で個別品目表示のルールの改正、デジタルツールの活用などの検討が分科会を設けて令和6・7年度に行われました。

 また令和7年度には食品ロス削減のために、食品期限表示の設定のためのガイドラインの見直し検討会が開催されました。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 一方、2021年には食品表示法の法改正があり、リコール報告制度が完全義務化となりました。食品表示の違反に伴う自主回収の理由は、アレルギー表示の欠落や期限表示ミスが多く、件数は年間2,000を超えるほどにもなっています。その多くはヒューマンエラーですが、食品表示制度が複雑すぎることに起因するものもあると思います。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 食品表示基準には品質事項、衛生事項、保健事項の3つがあり、保健事項には本日お話する栄養成分表示と機能性表示食品も含まれます。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

アレルギー表示の改正

 アレルギー表示は令和5年にくるみが義務化となり、令和6年、推奨表示のまつたけが削除され、マカダミアナッツが追加されました。現在は義務表示8品目、推奨表示20品目の合計28品目です。

 令和7年にカシューナッツを義務化にし、推奨表示にピスタチオを入れることが検討され、令和8年4月より施行される予定です。カシューナッツは経過措置期間が2年間、推奨表示のピスタチオは経過措置期間が設けられません。

 その結果義務表示9品目、推奨表示20品目の合計29品目となり、表示方法の難しさが課題となっています。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 三大食物アレルギーといえは、以前は卵、牛乳、小麦でしたが、今では即時型症例数が卵、くるみ、牛乳の順番となっており、くるみの症例数が増えています。木の実類ではくるみの他にもカシューナッツ、ピスタチオが増えており、ピスタチオはペースト状にされて菓子などに使用されているものが多いのが特徴です。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 また、令和6年度の全国実態調査ではペカンナッツやヘーゼルナッツも症例数が20位以内にはいっており、次回令和9年度の調査で引き続き20位以内にはいれば推奨表示の検討が行われることになります。

 このように木の実類の症例数が多くなり、対象品目が増えてきていますが、諸外国のようにtree nuts(木の実類)の類別名は日本では認められていません。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

栄養強化目的の添加物の表示義務化

 食品添加物の記載が例外的に省略可能なものとして、栄養強化目的、加工助剤、キャリーオーバーの3つがありました。このうち栄養強化目的の添加物については、実態として記載している例が多いため、食品表示基準の省略項目から削除され、加工助剤とキャリーオーバーの2つだけとなりました。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 食品表示基準改正は2025年3月で、5年間の経過措置期間が設けられています。栄養強化を記載することについての実態調査では95%が問題ないとする一方、高齢者向けのゼリーなどの製品は影響が大きいとしています。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

食品期限表示・ガイドラインの見直し

 食品期限表示の設定のためのガイドラインの見直し検討会が開催され、消費期限と賞味期限の指標の検討などが行われました。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 国が実施している食品ロス削減目標に向けた施策パッケージにおいてガイドラインの見直しが求められ、平成17年に策定された「食品期限表示の設定のためのガイドライン」について現状に応じた見直し、Q&Aの改正、消費者への情報提供などが盛り込まれました。

 これまでQ&Aでは安全係数0.8以上が望ましいとされてきましたが、安全性を見越したうえで安全係数は1.0に近づけることが望ましいとされました。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 このガイドラインの改正の趣旨は、食品ロスの削減と安全性の観点のバランスを見ながら消費期限と賞味期限を決めるというものです。

 事業者は食品の特性に応じて安全係数を自ら考えて設置します。HACCPに基づいた衛生管理の危害分析を踏まえて食品に適切な項目、指標を決定することが以前にも増して重要となります。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

個別品目ごとの表示ルールの衛生事項の見直し

 個別品目ごとの表示ルール見直し分科会において、令和6年度は20品目、令和7年度は22品目の個別品目の品質事項について基準改正を検討してきました。また、2025年11月以降食品衛生法由来事項の表示に関する見直しが行われます。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 食品表示基準の中には個別品目ごとに別表がたくさんあり、名称、原材料など細かく定められ、食品表示基準を分かりにくくしています。

 この別表を削除できるものは削除して、できるだけ横断事項にちかづけていくことを前提にして議論を行っています。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 品質事項に関してはかなりの品目の別表が見直されてきましたが、衛生事項についても旧食品衛生法由来の事項の見直しが行われます。

 例えば食肉製品などに加熱の温度が記載されていますが、消費者にとっては保存方法が伝われば十分であるため、加熱の温度の記載まで必要なのか、状況に応じて廃止していくことになります。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

品質事項の改正と検討状況

個別品目ごとの表示ルールの見直し

 品質事項の個別品目表示ルールに関しては、令和6年5月から毎月検討され、令和6年1月の検討分までについて令和7年3月にいったん基準改正が行われました。

 その後令和7年10月までの検討分と11月の衛生事項の見直しが2026年春の基準改正に盛り込まれます。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 これら基準改正の大前提は表示を分かりやすくシンプルにするという考え方です。食品表示基準の別表3、食品の定義、別表4、名称、原材料などの表示ルール、別表5、名称の規制、別表19、追加的な表示事項、別表20、表示の様式、別表22、表示禁止事項がありますが、それをできるだけ横断的に寄せていこうというものです。残す場合は、その必要性を確認することになります。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 たとえばぎょうざの場合、原材料を見ていただくと冷凍ぎょうざ、チルドぎょうざ、惣菜のぎょうざで表示ルールが異なり、これらは消費者、事業者双方にとってわかりにくい表示となっていました。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

食品表示基準(令和7年3月28日公布)改正事項

 令和6年度検討食品のうち、先ほど申し上げたとおり20品目が令和7年3月28日に基準改正され公布されました。その残り5品目と令和7年度分17品目が検討予定となっており、令和8年春に改正される予定です。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 令和7年3月分には調理冷凍食品、チルドハンバーグ、炭酸飲料、即席めんなどで別表を廃止しています。自社の品目が該当するか、ご確認いただければと思います。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

ケーススタディ マーガリン、パン、牛肉コロッケ、調理冷凍食品の皮

 マーガリンの場合は、個別表示が廃止され重量順の横断表示となるため、今までと変わる場合があります。一方、野菜や肉のように括り表示した場合は変わらないこともあります。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 パンの場合、今までは糖類とまとめていた個別事項が廃止となったため、まとめ表示の場合は糖類(砂糖、異性化液糖、水あめ)のように、まとめない場合は、砂糖、異性化液糖、水あめを全て記載することになりました。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 また、冷凍牛肉コロッケの場合、牛肉の含有率の記載の必要がなくなり、惣菜コロッケと横断的に並びます。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 ぎょうざやフライなど、調理冷凍食品の皮や衣の比率の記載がなくなりましたが、書いても違反にはなりません。一方野菜などの原材料の順番などの記載はルールに従って変える必要がありますが、まとめ表示などを使えば変わらない場合もあります。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

保健事項の改正と検討状況

食品表示基準に係る保健事項

 栄養成分表示には義務表示、推奨表示、任意表示があります。熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の基本5項目は義務表示ですが、別表9にさまざまな栄養成分が記載され、許容差の範囲が決められています。基本5項目は許容差の範囲が±20%となっています。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 今回、別表第9、10、12が改正されました。栄養機能食品は検討中で変わっていません。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

保健事項に係る食品表示基準(令和7年3月28日公布)改正

 今回、別表第9、食物繊維における許容差の範囲が改正され、食事摂取基準の改正に伴い、第10、栄養素等表示基準値、第12、栄養強調の補給ができる表示の基準値が改正されました。別表第9には経過措置期間はありません。別表第10、12の経過措置期間は3年間です。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

別表第9:食物繊維における許容差の範囲等の改正

 食物繊維における許容差の範囲が±20%のみだったものが、低含有食品のルールに食物繊維が加わり、0と表示できる量に0.5gが規定されました。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 例えば80gの製品に食物繊維が1.6gの場合、許容差の範囲が±20%の場合は1.3~1.9gでしたが、低含有食品の許容差が±0.5gとなったため、許容差の範囲は1.2~2.0gになり、範囲が広がりました。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 また、食物繊維が0.2gの場合、0と表示できる量が0.5gと規定されたため、改正後は0gと表示できるようになりました。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 またビタミンB群に関して、高速液体クロマトグラム法という分析法が追加されました。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

別表第10:栄養素等表示基準値の改正

 2025年版日本人の食事摂取基準を踏まえて、栄養素等表示基準値が改正されました。増えたものも減ったものもあります。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 栄養素等表示基準値というのは、18歳以上の1日当たりの栄養素等の摂取目安です。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 例えばビタミンDは5.5㎍から9.0㎍に、カルシウムは680mgから700mgに改正されました。たとえば1日分の栄養素等と強調して記載する場合は、成分をプラスするなど対応しなくてなりません。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 栄養素等表示基準値に占める割合を表示する際、栄養素によって割合を変更する必要があります。経過措置期間は3年間です。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

別表第12:栄養強調表示の基準値の改正

 栄養素等表示基準値の改正に伴い、栄養強調表示する場合の基準値も改正されました。例えばたんぱく質の場合、8.1gで「たんぱく質たっぷり」と栄養強調表示ができたものが、8.5gないと強調できなくなります。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 栄養強調表示のルールの記載は別表第12と13がありますが、第13は含まない、低いという場合ですので、今回は改正の対象外です。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 例えばカルシウムたっぷりと記載する場合、210mg以上の基準値が必要です。相対表示の場合もこの基準値を踏まえて変える必要があります。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

令和5年度分かりやすい栄養成分表示の取組に関する検討会

 令和5年10月にFOPNL(容器包装栄養前面表示)のコーデックスガイドラインが紹介され、日本でも「分かりやすい栄養成分表示の取組に関する検討会」が開催され、現在は「日本版包装栄養前面表示に関する検討会」で検討が行われています。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 FOPNLというのは、各国の法律、食生活に従って作っていくもので、イギリス、フランスなど各国さまざまなパターンがあります。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 日本でもネスレ、生協など既に取り組んでいる企業があります。今回の日本版FOPNLのデザインは、栄養成分表示5項目を上に、栄養素等表示基準値に占める割合を下に示したもので、一定のルールで任意表示するというものです。これまで独自の栄養全面表示を行っている場合は、その方法を妨げないためにガイドラインとしています。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 基本5項目のデザインも決まり、日本人は食塩を多く取る傾向があるため、食塩の項目が目立つよう二重囲みにしています。縦バージョンもあります。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 このガイドラインのポイントは、1食分の量を表示、販売時と摂取時の栄養成分に違いがある場合は摂取時の量を表示、5項目をセットで表示、推定値の表示は不要などです。今年度パブコメ後にガイドラインを成案する予定で進められています。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

機能性表示食品の基準改正

 紅麹関連製品を踏まえ、機能性表示食品制度が大きく改正されました。
 改正点は、健康被害情報収集と報告の義務化、カプセルなどサプリメント形状食品へのGMP基準の適用、表示方法の見直し、PRISMA2020の適用、新規成分の届出は慎重にすることなどがあります。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 表示の見直しについては、機能性表示食品の文字を囲む、届出番号を下に書く、抜き書きの表示はしない、薬ではないと表示する、薬品との飲み合わせを記載するなどがあります。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 今年の10月に機能性表示食品の表示禁止事項の改正があり、別表第9条に掲げられていない成分を強調することができるようになりました。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 総じて機能性表示食品は紅麹関連の問題を受け、届け出のハードルが上がり、健康被害の報告、規制が強化されています。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

栄養機能食品に関する検討会

 栄養機能食品に関する検討会において栄養機能食品に関する検討が行われ、今年度は栄養成分ごとに別表に示されている機能の表示、来年度は注意喚起表示について検討されます。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

 上限値、下限値の見直しがあり、文言に関しては、亜鉛やビタミンなどに情報が追加される予定です。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

まとめ

 食品表示基準の改正について話してきましたが、膨大な量ですので、改正内容はできるだけ早く捉え、対応することが大事です。今後も消費者庁の検討会などをウォッチしていただき、基準改正の際はパブリックコメントなどで意見を表明していただきたいと思います。

講演資料:「最近の食品表示動向~基準やガイドラインの見直しを中心に~」より

森田 満樹氏
 講師ご紹介 
一般社団法人Food Communication Compass 代表
消費生活コンサルタント
森田 満樹 氏

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