- 社 名
- 株式会社赤坂柿山
- 事業内容
- 米菓製造販売業
- 設 立
- 1971年2月
- 資 本 金
- 4,000万円
- 社 員 数
- 160名
- 所 在 地
- 東京都港区赤坂3-6-10
首都圏を中心に、直営店や百貨店内など48店舗で米菓(あられ・おかき)の製造販売を行なう株式会社赤坂柿山(以下、同社)さま。
富山県で創業後、昭和46年に同社設立。昭和48年に東京・赤坂へ本店を移転しましたが、今も富山県特産の新大正もち米にこだわる老舗です。
「慶長」「慶凰」といった代表商品のほか、数多くの季節限定品やギフト商品を持つ同社の課題は、本社と店舗をつなぐ全社統合型の管理システムを導入し、売上や在庫などさまざまなデータを双方向で活用することでした。
そんな同社が新たな販売管理システムとして導入を決めたのが、食品製造小売業に特化した「スーパーカクテルCore FOODs STORE(以下、SC STORE)」です。
10年間利用していたオリジナルシステムではなく新たなパッケージシステムへの切り替えを決断した理由と、本社と各店舗とのコミュニケーションの変化による業務の活性化についてお聞きしました。
導入の背景
Background
――『スーパーカクテルCore FOODs STORE』導入当時の御社の状況を教えてください。
攻めの経営を実現できる、全社統一システムを検討 食品業界の事例が豊富な点に期待
直接的なきっかけは、2014年4月のWindows XPのサポート終了でした。 OSサポート終了とともに、このままでは従来のシステムが使えなくなってしまうという状況で、どうせ時間やコストをかけて対応していくのであれば、今後の業務で活用していくにあたり、現在の課題を解決できる、より良い業務システムを構築するべきではという考えに至りました。
川合 寛妥 代表取締役
それまで使用していた、10年前に導入したオリジナルシステムは、当社の業務の癖や独自の管理方法を反映したものでした。これを手直しして使い続けることで基本的な業務、いわゆるディフェンスの部分は滞りなく進めて行くことができます。
しかし今後、これまで以上に積極的なIT活用…つまり商品管理や会計管理、店舗管理の刷新と連携という、言うなれば業務のオフェンス的な部分の改革を行なうなら、今がそのタイミングだと考えたのです。
そのためには、システム移行による拒否反応を避けて従来のものを使い続けるよりも、長い目で見たときに、将来的にしっかりと使っていける新たなシステムを導入しようと判断しました。
――新システムとして内田洋行ITソリューションズ(以下、ITS)の「SC STORE」の導入を決定した理由をお聞かせください。
新システム導入のテーマとして、本部・店舗・倉庫・工場をネットワーク化した統合システムであることと、これまで別々になっていた販売管理と会計管理を連携させ、経営に活かせることを掲げました。
また、システム刷新のきっかけとなったOSサポートの件が示す通り、IT関連の環境がどんどん変わっていくことも課題のひとつと考えていました。構築したシステムが5年~10年後も使っていけるかどうか、変化とともにどうやって対応していけば良いのか、という長いスパンを想定してシステム構築を考えたとき、標準的な管理方法に沿ったシステムをベースに当社独自の業務をカスタマイズで実現することが、今後の様々な環境変化にも柔軟に対応できるのではないかと考えました。
このような視点でIT導入のパートナーを検討した結果、食品業界に多くの導入事例を持つITSの「SC STORE」ならば、そのノウハウを活かしたシステム構築をお願いできるだろうと判断しました。
また、お菓子を取り扱っていると一口で言っても、デパート向けにやっている場合と、コンビニやスーパー向けとでは、商売の仕方がまったく異なります。ITSでは、当社と同じデパート向け販売を行なっている企業への導入実績があるというところにも、大きな期待を寄せていました。
導入のポイント
Point
――新システムの導入決定から稼働まで、各店舗やスタッフ部門への周知や教育も含め、どのように進められましたか?
ここしかないベストな稼働タイミング 一年をかけた導入ステップにも対応
稼働の10ヶ月前(2014年5月頃)から、システムの導入計画を策定しつつ、一方では、事務や配送センターのスタッフと一部の店舗の店長とで新システムの勉強会を行ないました。
11月には先行して10店舗で仮稼働し、問題点の洗い出しなどを行ないましたが、仮稼働する店舗は、疑問や改善点などについて問題提起をしてもらいやすくなるよう心掛けて、選定しました。
伊藤 純浩 取締役業務部長
半分はITが得意で積極的に新システムを使える店舗を選びましたが、残りの半分はあえてITが苦手な店舗を選び、慎重に客観的な視点でシステムを見てもらう、というバランスのとれた環境を作って取り組みました。
その後、今年(2015年)1月に全店舗へ周知し、教育指導を行ないましたが、このような形で進めたことで、先行稼働した店舗が他店舗に指導してくれる、という流れが作れたのも良かったと思います。 その後、2月には旧システムとの平行稼働を行ない、3月から完全に新システムに切り替えての稼働となりました。
――稼働開始が3月になったのは、どのような理由からでしょうか?
当社では、夏場のお中元や里帰りと、冬場のお歳暮やお正月の時期に大きな繁忙期を迎えます。それぞれ時期限定品やギフト商品も多くなる、このふたつの山場を越えることが出来れば、業務システムとして今後も問題なく使っていけるという判断が出来ます。
そこで、まず夏の繁忙期をテストケースとして新システムで対応し、その結果をもとに秋に修正を加えつつ、暮れの業務のボリュームに対応できるか、2月にくる決算に向けて会計の連動が出来ているかという、一年間で段階的な判断が出来るよう、「ここしかない」というタイミングとして、決算直後の3月を稼働開始と決定しました。
七糯子・夏定番商品「慶長」をはじめ、さまざまなあられを詰め合わせた「七糯子」の夏限定バージョン。 紫蘇や梅など旬の味わいが加わっています。
導入の効果
Effect
一方通行から双方向のコミュニケーションへ
――『SC STORE』導入後の、業務への影響はいかがでしょうか?
3月の稼働から3か月が経ちましたが、思った以上にスムーズに移行できているのではないかと感じています。 これからお中元の時期を迎えて、通常の店頭での処理に加え、商品の移動や入金のタイミングなど、繁忙期特有の動きが出てくるので、この時期を越えてから正しい評価を下すことになりますが、今の段階では、少なくともこれまで旧システムで行なっていた業務は、新システムでも違和感なく出来ていますね。
会計データとの連携については、当初想定していた以上の細かな調整が必要で、現在も修正作業が続いている部分もありますが、懸念していた店頭での大きな混乱はないようです。 全社統合型のシステムが構築できたメリットとして、これまで一方通行だった本社と店舗とのコミュニケーションが変化しました。
従来の体制では、店舗からの情報を本社が吸収するだけでした。集まった情報は本社から店舗へデータで返すことが出来ず、情報共有するためには、紙に出力したものを社内報として回す程度でしたが、今回のシステムでは店舗が入力したデータを本社が加工し、店舗側へフィードバックすることが可能になりました。
棚卸や季節商品の集計情報などは、毎朝更新されたものを店舗側で参照できるようになっています。これにより、今までは営業担当に確認しないとわからなかった在庫情報などが、各店舗にあるPC端末から把握できるようになり、店舗同士で商品のやりとりを行ない、欠品を補い合うといったことも可能になりました。
当社では通常商品のほかに季節ごとの限定商品にも力を入れていますが、このような商品は売れ筋である分、時期が過ぎると当然売れなくなってしまうため、各店舗での在庫の調整が難しいのです。せっかく店頭にお客様が来られても、在庫がないとそこで諦めてしまいますし、デパートでは売り切れてしまったら陳列ディスプレイから下げるように言われてしまいます。そんなとき、他店舗に在庫があることが分かれば、欠品している店舗に回して売ることも出来るのに、これまでは営業を介して確認しないと在庫状況が分からないため、機会を逃してしまう場合も多かったのです。
今回の全社統合システムで、倉庫や他店舗に在庫があるかどうか、店舗の端末で簡単に把握できるようになったので、機会損失を抑えることが可能になりました。 今後はさらに一歩進めて、営業担当が売上データ等を分析して店舗へ送り有効利用してもらう、といったことにも活用できると思います。
想定していたシステムの完全稼働へ向けて
――今後の赤坂柿山さまのIT活用について、課題や展望をお聞かせください。
システム構築の当初から考えていた業務の改善ポイントとして、店頭の売り上げデータと会計システムとの連携によって、オートメーションで短期間のうちに数字が上がってくる、ということに非常にメリットを感じていました。一部まだ従来型の管理からの移行段階にあり、完全には実現していませんが、本格的に繁忙期に入って数字が大きくなる前に移行を完了して、早く有効なデータをつかめるようにしたいと思っています。
また、各店舗での売り上げや在庫データの参照はすでに実現できていますが、さらにこれらのデータがグラフや表などの見やすい形で現場に提供され、店舗でのミーティングの議題やディスプレイの変更に積極的に活かされることが理想なので、早くそのような形までもっていきたいですね。
課題とは違う話になりますが、システム導入後、棚卸精度が上がってきているという話を聞いています。現場で入力されたデータが会計データへ入っていくことの緊張感が生まれているのではないでしょうか。これはとても良い影響ですね。こういう影響が最初に話した、攻めの経営へ繋がっていくと感じています。
今回導入したシステムの中で、まだ活かしきれていない機能も多いし、会計データからさらに給与などへの連動も想定して構築しているので、まずはそこまで進めたいと思っています。
※掲載内容は取材時点のものです。
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