物流の2024年問題とは
2024年問題とは、働き方改革関連法によって、2024年4月1日から「自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制」が適用されることで運送・物流業界に生じる諸問題を意味します。具体的には、トラックドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限されます。ドライバーの労働時間に罰則付きの上限が設定されることで、会社の売上・利益減少やトラックドライバーの収入減少に伴う離職、荷主側における運賃の上昇といった問題が生じる恐れがあります。
ちなみに、2019年7月1日からは、貨物自動車運送事業法の一部が改正され、荷主の配慮義務が新設されています。荷主は、トラック運送事業者が法令順守して事業が遂行できるよう、下記のような違反原因となる行為をしてはいけません。
- 荷待ち時間の恒常的な発生
- 非合理な到着時刻の指定
- やむを得ない遅延に対するペナルティ
- 重量違反などとなるような依頼
食品業における物流業務課題
ここでは加工食品の輸送ネットワークを例にして、物流業務課題の発生ポイントを見直します。小売事業者から卸売事業者、加工食品メーカーへの受発注および輸送の流れを下記の図としてまとめました。
物流業務効率化による荷主のメリット
付帯作業時間短縮で「トラック構内滞留時間」が短縮
生鮮食品や飲料など、食品を取り扱う物流において、トラックドライバーが、バラ貨物の積卸し作業はよく見られる光景です。選果場での仕分けなど、トラックドライバーの付帯作業も同様です。
荷役作業時間や付帯作業時間を短縮することで、荷主拠点におけるトラックの構内滞留時間の短縮に繋がります。トラックの構内滞留時間が削減される事により、荷主企業は限られたスペースを有効活用できます。
待ち時間短縮で「バース回転率」が向上
30分以上の待ち時間が発生した件数は、食品物流の発生件数が、最も多くなっています。
この待ち時間が短縮されると、荷主拠点のバース回転率が向上します。バース回転率が向上することで荷主拠点では、計画的に荷受けなどの荷役作業が実施できるため、作業の効率化に繋がります。
グラフ出典:「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会 資料」より
高速道路の利用で「納入遅延」を抑止
高速道路を利用すれば、高速料金負担など、様々な課題がある一方で、下道運行と比較して、着荷主へのお届けに要する時間が短縮できます。
言い換えれば、発荷主にとっての大切なお客様である着荷主への納入に際し、渋滞などによる遅延抑制に向け、柔軟に対応できる様になります。
物流業務効率化の対策事例
「運転」の時間短縮をする
事業者名 | 事業概要/件名 |
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E社 | 市場間物流効率化のため、「直送から中継輸送」に交換する 生鮮食品の長距離幹線スイッチ輸送の合理化 |
T社 | 集車能力向上のため、「単車から連結トラック」に交換する 連結トラックを活用した共同輸配送、パレット管理システムの構築 |
Y社 | 輸送生産性向上とコスト削減を目的に 「自社の輸送ネットワークと青果物輸送ネットワーク」を統合する 青果物少量多品目輸送の効率化 |
「荷役」「付帯」「待ち」の時間短縮をする
事業者名 | 事業概要/件名 |
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K社 | 事業出荷情報の提供で、「入荷検品作業」を簡単にする 入荷検品レスの推進 |
Z社 | パレタイズで、「手荷役作業」を無くす 農産物輸送のパレット化による手荷役時間の削減 |
M社 | パレタイズで、「手荷役作業」を無くす 食品業界の一貫パレチゼーションの実現 |
まとめ
物流の効率化を実現するためには荷主・着荷主・物流事業者が互いに歩みよりながら施策を実施すること、その取組みを持続的に行うことが重要です。物流クライシスを防止するために、荷主である食品企業の働きかけがキーとなります。2024年の規制適用に備えて、自社の運用を見直してみてはいかがでしょうか?
参考:国土交通省「食品業に係る物流効率化実施の手引き」