食品表示法の最新動向~原料原産地表示の対応に向けて

静岡
2017/10/25

2017年9月15日に静岡で開催しました「食品製造業様向け実践セミナー」イベントでの講演「食品表示法の最新動向 ~原料原産地表示の対応に向けて~ 」についてレポートいたします。

食品表示法の最新動向
食品表示法の最新動向
~原料原産地表示の対応に向けて~

【目次】
◆改正食品表示基準について
◆加工食品の原料原産地表示と根拠書類
◆◇①原則・国別重量順表示
◆◇②又は表示
◆◇③大括り表示
◆◇④大括り表示+又は表示
◆◇⑤製造地表示
◆消費者を誤解させないために

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▲ 東京海洋大学
  非常勤講師
  消費生活コンサルタント
  森田 満樹 氏

 2015年4月、消費者庁のもとで食品表示法が施行されました。JAS法、食品衛生法、健康増進法の義務表示の部分が一本化し、違反した際の罰則も一元化されるとともに、細かいルールを定めた食品表示基準(アレルギー表示の変更や製造所固有記号の改善、栄養表示の義務化など)が定められ、加工食品の新表示の対応は2020年3月末日までとされています。また昨年、原料原産地表示の検討が行なわれ、新しい原料原産地表示ルールを盛り込んだ改正食品表示基準が2017年9月1日に施行されました。こちらも新ルールの意向には時間がかかるため、移行措置期間は2022年3月末までとなっています。
 本講演では原料原産地表示に的をしぼり、ご説明いただきました。

改正食品表示基準について

最近の食品表示制度の動向

 私はこれまで農水省のJAS関連委員、消費者庁の食品表示一元化委員などを務めてきました。最初に最近の食品表示制度の動向を振り返ってみましょう。2015年4 月、食品表示法が施行され、機能性表示食品制度がスタートし、これまで1000を超える商品が受理されました。
 一方、2016年4 月には景品表示法が改正されて課徴金制度が導入され、大げさな表示や広告・宣伝に対する取り締まりが厳しくなりました。景品表示法では、たとえば先月(2017年8 月)、北海道で店頭ポップに「道産小麦粉」と書いてあるのに中身は違っていることが発覚し、北海道が措置命令を出しています。原産地を間違えると、食品表示法だけでなく、景品表示法違反にもなります。しかも、従来は消費者庁のみであった権限が地方公共団体におろされ、都道府県でも、そうした措置が行えるようになりました。大げさな表示、広告などに対する取り締まりはさらに厳しくなっています。食品表示法とは異なる法律ですが、覚えておいてほしいと思います。

食品表示基準の見直しは毎年行われている

 食品表示法施行後も食品表示基準の見直しは毎年行われています。2016年4月、製造所固有記号が始まり、2017年9 月1 日から本日のテーマでもあります加工食品の原料原産地表示がスタートしました。2017年度は遺伝子組み換え食品の検討が進められており、2018年度は食品添加物の表示方法の見直しが行われる予定です。

食品表示基準のスケジュール

 食品表示基準のスケジュールを見ると、経過措置期間はアレルギー表示の変更や栄養表示義務、製造所固有記号などベーシックなものが2020年3月31日までで、原料原産地表示は2022年の3月末までとなっています。
 先日、ある食品大手の方と話しました。その会社の商品アイテムは2,000品ぐらいで、「今から全商品に原料原産地表示をしていたら、5年では間に合わない。プロジェクトをつくって対応します」と、仰っておられた。新表示は過去に遡って確かな根拠書類を準備するなど従来の表示よりもハードルが高いものです。

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違反した際の流れが大きく変わった

 食品表示法で大きく変わったのは違反した際の流れです。たとえば、原材料名の順番を間違えたような場合、一般的には左側のラインで、指示→命令→(命令違反の場合)罰則を科すという流れです。ところが、偽装表示につながるような原産地を間違えるケースでは、ただちに罰則が科されます直罰規定となります。また右側のラインはアレルギー表示の欠落など人の命に係わるもので、この場合は回収命令をかけることができるものです。実際には事業者が自主回収などで対応することが多く、現在、年間数百件の自主回収がみられます。

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原料原産地表示―改正食品表示基準の3点セット

 2017年9 月1 日、「(原料原産地表示制度に関する)食品表示基準の一部を改正する内閣府案」が告示・施行され、「食品表示基準一部改正のポイント」(説明資料)と「新たな原料原産地表示制度に関するQ&A」が公開されました。説明会では、これらの3 点セットをもとに農林水産省、消費者庁の職員が話をします。他にもパンフレットやリーフレットがありますが、本日は「一部改正のポイント」とQ&Aから重要な部分を抜粋して、お話しします。

緑茶飲料の原料原産地表示が義務化されて以降、国内緑茶の生産量が増えた

 従来は22食品群+4 品目に原料原産地表示が義務づけられていました。たとえば、緑茶飲料の場合、「緑茶(清涼飲料水)、原材料名、緑茶(日本)」と書かなければなりません。緑茶飲料の原料原産地表示が義務化されて以降、メーカーは「国産」と表記したいので、国内の緑茶の生産量が増えたという話も聞きます。国産品に対するニーズは強く、新制度を機会に、いろいろな加工食品で原料を国産に切り替えるところが出てくるかもしれません。

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加工食品の原料原産地表示と根拠書類

国別重量順表示を原則としつつ対象をすべての品目に拡大

 新制度では国別重量順表示を原則としつつ対象をすべての品目に拡大しました。22+4(+おにぎりののり)は、そのまま国別重量順表示を原則とします。そのほかの加工食品も原則、国別重量順表示ですが、原材料の産地の切替えなどそれが難しい場合、「又は表示」「大括り表示」を行うことができます。ちなみに「おにぎりののり」は重量割合順1位ではないのですが、全国の漁協などから要望があり、外国産と差別化するために原産地表記を義務づけすることになったものです。

義務表示の対象は重量割合上位1 位の原材料

 義務表示の対象となるのは重量割合1 位の原材料です。原材料名にある最初の原材料にカッコして原料原産地表示が書かれるというイメージです。重量上位1 位であっても添加物や水は除きます。たとえば、水と添加物だけで作られているような食品があれば、それは対象外となります。また、外食や対面販売のものは、もともと義務表示の対象外なので、こちらも表示は義務付けられません。業務用食品も義務はありませんが、情報伝達は求められます。
 お酒も表示の対象になります。ただし、ワインなどの果実酒は他の法律で原産地表示が課されているので、食品表示基準の規定は適用しません。

表示の導入プロセス

 それでは、新表示の導入プロセスを簡単に説明します。

  1. まず原料原産地の義務対象かどうかを確認します。
  2. 対象の場合、重量割合上位1 位の原材料が生鮮食品か、加工食品かを確認します。加工食品の場合、中間加工原材料の製造地表示になります。
  3. 生鮮食品の場合、国別重量順表示(A国)(A国、B国)(A国、B国、その他)が原則となります。
  4. 国別重量順表示ができず、原料原産地が2 カ国で切り替えられたり、混合されたりしている場合は例外1 の「又は表示」で「A国又はB国」のように表示します。この場合は、一定期間の使用実績がA国の方がB国よりも多いことを意味します。
  5. 3 カ国以上の原材料が使われている場合、例外1 「又は表示」で「A国又はB国又はC国」「A国又はB国又はその他」か、例外2 の「大括り表示」になり、「輸入」と表示できます。
  6. 3 カ国以上の輸入原材料と、国産原料が切り替えて使われる場合は、例外3 の「輸入又は国産」と表示します。「輸入又は国産」というと、何でもありのように思われそうですが、3カ国以上であるとか、年間で輸入のほうが国産よりも多いとか、細かい要件がたくさんあり、それらをクリアして初めて表記できるルールになっています。

新ルールの具体的な表示法を次に掲げます。

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国別重量順表示を原則とする

 国別重量順表示には、いろいろな書き方があります。原材料名の下に事項名(原料原産地名)を立てる場合、国名を先にして「アメリカ、カナダ(豚肉)」と書きます。事項名を立てないのであれば、原材料名のところに「豚肉(アメリカ、カナダ)」というふうに書いてください。枠外記載もあります。事項名のところに「枠外下部に記載」と書き、下部に「原料豚肉の原産地名 アメリカ、カナダ、その他」と書く方法です。毎回、原材料が変わるときなどは賞味期限とともに印字すればいいので、臨機応変に対応できます。
 どうして国別重量順表示が原則なのかというと、この表示方法が消費者の誤解が一番少ないからです。たええば、「牛肉(米国産、国産)」という表記は「米国産と国産の両方が混ざって使われていて、米国産のほうが多いですよ」ということを意味します。

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例外表示1 又は表示(可能性表示)

 原材料の産地が季節に応じて切り替わるなど国別重量順表示ができない場合は、重量割合の高いものから順に「又は」でつないで表示する方法もあります。「豚肉(アメリカ又はカナダ)」といった具合です。この場合は、豚肉の産地が「アメリカだけ」「カナダだけ」「アメリカとカナダの混合」の3つの可能性があります。この表示方法では根拠書類が必要で、欄外に「豚肉の産地は、平成〇年の取扱実績順」といった注意書きをしなければいけません。使用実績は過去3 年間のうちの1 年間でいいとされていますが、根拠書類が必要です。
 商品によって注意書き表示の書き方は、さまざまです。また、新商品の場合や過去実績と異なる場合は、使用計画で表示します。なお、「アメリカ又はカナダ」と表示すると、過去の使用実績がこの順番で多いことを示し、この順番の実績が変わったり、他の国の原材料を使用したりすると表示できなくなるので注意が必要です。
 原材料の産地の可能性や順番が決まっている場合は、注意書きを「前年の使用実績」とする方法もあります。具体的な年号、たとえば平成29年と書いてしまうと、毎年、改定しなければいけないからです。

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誤認防止策として「5 %未満ルール」を採用

 「『又は』でつないでいけるなら、国産のものがほんのちょっと、耳かき1 杯程度しか入っていなくても『国産』と書けるのでしょうか」と、検討の時点で質問した人がいました。それでは消費者の誤認につながってしまいます。そこで、使用実績が「5%未満」のようなごく少ない使用割合の場合は、その旨を書かなくてはいけないことになりました。つまり、国名や国産を表示するのであれば5%以上の使用実績があり、それを満たさなければ「5%未満」と表示しなくてはならないということです。

例外表示2 大括り表示

 原料原産地が3カ国以上の場合は、大括りで「輸入」と書きます。国産のものと混ぜて一緒に使う場合は、「国産、輸入」と表示します。ただ、そう書くのであれば、その商品は国産のほうが輸入の原材料よりも量を多く使用することを、常にキープしていかなくてはいけない。ある事業者は、国産原材料は供給が安定していないので、国産より輸入のほうが多くなることがあるかもしれない。そうすると今後は「国産、輸入」表記は難しいと話していました。
 大括り表示の条件は「対象原材料の過去の実績や使用計画により、3 カ国以上の産地切り替えが行われる見込みで、国別重量順表示が困難な場合」とされています。使用実績は過去3年以内、使用計画は製造開始日から1年以内で、原材料の由来が一緒である製品単位ごとに根拠書類を用意すればいいことになっています。

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例外表示3 「大括り表示」+「又は表示」

 大括り表示だけでは表示が困難な場合は「大括り表示+又は表示」が認められています。具体的には過去の使用実績の重量割合が高いものから順番に「又は」でつないでいきます。「輸入又は国産」「国産又は輸入」という表示方法になります。たとえば「国産又は輸入」と表示する場合は、一定期間の使用実績で国産の使用量の方が3カ国以上の輸入使用量よりも多いことを意味します。このように例外表示は様ざまな要件を満たさないと使えませんし、根拠書類が必要です。

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例外表示の根拠書類

 「又は表示」「大括り表示」「大括り+又は表示」を行う場合、根拠となる書類が必要です。その根拠書類については、Q&Aの(原原―37)に細かく記されていますので、必ず確認してください。使用実績に関しては、いつからいつまでか、産地切り替えがあるか、過去の一定期間における産地別使用実績等をどのような単位(1製品ごとか、原料の管理を共通化している製品単位ごとかなど)で計上したか、使用割合の順はどうかを示す資料や、送り状や納品状、使用計画に基づく規格書、その規格書に沿って製造されたことを証明する書類などが必要です。表示の根拠を求められた場合は、これらの資料一式を揃えておかねばならず、それぞれの会社で構築していかなければいけないことになります。使用計画に関しては調達計画、栽培計画が明らかになっているものなどを、きちんと用意する必要があります。
 事業者側は現在使用している原材料の根拠資料だけでなく、過去実績などのフローがわかる一定期間の資料もあわせて用意しなければなりません。きわめてハードルが高くなったといえるでしょう。

製造地表示

 対象原材料が中間加工原料である場合、その原材料の製造地を「〇〇(国名)製造」と表示します。多くの加工食品の原材料が中間加工食品なので、この表記を一番多く見ることになるのではないでしょうか。なお、ここでは「〇〇加工」は認められていません。
 (〇〇製造)と表示する場合は、その前に加工食品の名称がきます。「りんご果汁(国内製造)」となり、「りんご(国内製造)」という表示にはなりません。輸入品で2カ国以上の製造品の場合、両方使っていれば「A製造、B製造」、切り替えて使っていれば「A製造又はB製造」です。3カ国以上の製造地の場合は「外国製造」という表示も可能です。

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中間加工原材料の製造地の決め方

 中間加工原材料の製造地はその加工原料の製造地か、さらに細かく表示をしたい場合は、生鮮原材料までさかのぼった原産地を表示します。例えば、生鮮原材料のタマネギは中国産だが、通関の際、タイで製造されたと認定されたものであれば、タイが製造地になります。また、加工の場合は加工地の表示はできず、製造地まで遡ることになります。この場合の製造と加工の線引きは、Q&Aの(原原―43)の表を確認してください。

経過措置期間は2022年3 月末日まで

 2022年3 月末日までを経過措置期間としています。原料原産地表示において、特に例外1~3の場合は一定期間の根拠書類を必要としますので、それだけ準備期間が必要ということになり施行後4年半の移行措置期間が設けられたのです。

消費者を誤解させないために

消費者に誤解を与えない表示を

 新制度は以上のように複雑な制度となっています。ひとことでいえば、事業者にとっても消費者にとっても、わかりにくいと言えます。このため、十分な啓発が必要として、施行前の2017年8月10日に、消費者委員会は改正基準に多くの前提条件と附帯意見を盛り込んで答申しています。
 新制度では製造地表示がメインになり、消費者の知りたい国別表示は2 ~3 割にとどまるといわれています。つまり、例外表示が7~8割になってしまう。例外表示が例外ではなくなるわけです。
 同じ商品でも企業によって表示方法が異なり、消費者はくらべることができません。外国の原料を使っても、国内で製造していれば国内製造と表示できます。たとえば、そば粉の場合、「国内製造」と書くと、そばの実は100%国産ではないかと誤解される可能性があります。輸入した生のギョーザを冷凍で仕入れ、国内の工場で焼いて使う場合、表示は「餃子(国内製造)」となります。これが、中国で焼いた餃子を冷凍して、国内の惣菜工場で再加熱して使う場合は「餃子(中国製造)」となります。
 いずれにしても、消費者に誤解を与えないよう、一括表示枠外に説明を加えたり、ウェブで詳細情報を示すなどの情報提供が求められることになるでしょう。

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