添加物不使用表示ガイドライン10類型に分類 事業者が自己点検

公開日:2022.6.30
更新日:2023.9.27

食品添加物表示の見直しとガイドラインの検討

2015年4月に食品表示法が施行され、2022年3月に添加物不使用表示ガイドラインが策定されました。食品における食品添加物の不使用表示の種類は多岐にわたります。移行期間の2年程度の間(2024年3月末迄)に、任意表示の自主点検、見直しが求められています。

ガイドライン策定までの消費者庁の動き

消費者庁では、「食品添加物表示制度に関する検討会」が2019年4月から2020年3月まで行われました。検討会の報告書(2020年3月公表)では、①食品表示基準第9条に規定された表示禁止事項の解釈を示す食品表示基準Q&Aが網羅的ではない②「無添加」「不使用」の食品表示基準Q&Aがあいまい③任意表示の「無添加」「不使用」が義務表示事項よりも目立つように商品に表示されるケースもあることから、食品表示基準第9条に規定された表示禁止事項のメルクマールとなるガイドラインを新たに策定することが提案されました。

食品表示

また、消費者庁が実施したこれまでの消費者意向調査等においても、食品添加物の添加物不使用表示がある商品を購入する際に、一括表示欄を確認しない消費者が存在することが明らかになりました。

食品添加物の不使用表示に関するガイドラインとは

2022年3月30日、食品表示法の「食品表示基準Q&Aについて」の「別添」として「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」が公表されました。これは、食品添加物の不使用表示について消費者に誤認を与えないよう留意が必要な具体的事項を10類型にまとめたものであり、食品添加物の不使用表示を一律に禁止するものではありません。

このガイドラインを用いることで、食品関連事業者が、食品表示基準第9条に規定された表示禁止事項に当たるか否か自己点検を行えるものです。10類型に当てはまらず、事実に基づく表示であれば「無添加」「不使用」は食品パッケージに利用できます。

ガイドライン適用範囲

食品表示基準の規定に基づき、一般用加工食品の容器包装に限定されました。食品衛生法第4条第2項に規定する食品添加物の不使用表示について適用されます。

食品衛生法第4条第2項

この法律で添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいう。

基準第9条第1項の規定を準用する場合においても、類推適用することとなります。

広告やウェブサイトは適用範囲外ですが、消費者庁は本ガイドラインを参考に不使用表示を縮減してほしいと説明しています。

食品表示基準第14条

食品関連事業者が販売する業務用加工食品の容器包装、送り状、納品書等又は規格書等への表示が禁止される事項については、第九条第一項(第十二号を除く。)の規定を準用する。

食品表示基準第17条

食品関連事業者以外の販売者が販売する加工食品の容器包装への表示が禁止される事項については、第九条第一項の規定を準用する。

食品表示基準第9条第1項

実際のものより著しく優良又は有利であると誤認させる用語

食品表示基準第9条(表示禁止事項)

各類型のうち、食品表示基準第9条第1項第1号第2号及び第13号に規定された表示禁止事項に該当するおそれが高いと考えられる表示について、ガイドラインに取りまとめられました。

  • 実際の食品より著しく優良又は有利であると優良誤認を招く表示
  • 実際の表示と異なる用語を使い、義務表示事項の内容と矛盾する表示
  • 大きく無添加と表示するなどして内容物を誤認させるような文字、絵、写真その他の表示

消費者の食品の選択の機会において正確な情報たり得ないとして、明示的に禁止されています。

添加物不使用表示ガイドライン10類型

消費者庁は、食品添加物の不使用表示の現状や、前述の食品表示基準第9条の性質から、実際の商品における食品添加物の不使用表示は多岐にわたり、あらゆる例示を列挙することは困難であるとしています。そこで、容器包装における表示を作成するに当たり注意すべき食品添加物の不使用表示を、順序をつけない10類型に定めました。

実際の食品添加物の不使用表示が各類型に該当するか否かだけではなく、商品の性質、一般消費者の知識水準、取引の実態、表示の方法、表示の対象となる内容などを基に、ケースバイケースで全体として判断されます。

類型1 単なる「無添加」の表示
類型2 食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示
類型3 食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示
類型4 同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示
類型5 同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示
類型6 健康、安全と関連付ける表示
類型7 健康、安全以外と関連付ける表示
類型8 食品添加物の使用が予期されていない食品への表示
類型9 加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている(又は使用されていないことが確認できない)食品への表示
類型10 過度に強調された表示

ガイドラインに基づく表示の見直し

表示禁止事項に該当するか否かのメルクマールが明確になったことを踏まえ、消費者庁は、包装資材の切替えに一定程度の期間が必要であること等を考慮しつつも、2年程度(2024年3月末迄)の間に表示の見直しを行うことを求めています。

この期間に製造・販売等された加工食品が、見直し前の表示で流通することはやむを得ないとしていますが、2年に満たない間においても、可能な限り速やかに見直しを行うことが望ましいとしています。

食品表示イメージ

ひとつの商品パッケージに複数の類型が当てはまるため、類型別にみるのではなく、パッケージから当てはまる類型を複数の観点から確認する注意が必要です。ガイドラインが策定されたことで、「無添加」「不使用」表示の自己点検、見直しが進み、過剰な表示が少しずつ見直されて縮減につながることが期待されています。

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