食品表示制度の動向
~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~


 2026年5月19日に開催しました「食品表示の最新動向と業務効率化セミナー」の基調講演「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」をレポートいたします。

 2026年4月1日から食品表示基準の一部改正が施行されました。主にアレルギー表示の対象品目の改正と、個別品目表示ルールが見直されています。

 本セミナーでは、一般社団法人Food Communication Compass 代表 森田 満樹 氏より、食品表示の最新動向を踏まえた改正内容の解説、改版事例をご紹介いただきました。

はじめに

食品表示基準改正概要

 今年4月1日に行われた基準改正では、食物アレルギーの表示としてカシューナッツが義務化され、ピスタチオが推奨表示となりました。昨年3月の基準改正でも個別品目の表示の改正が行われています。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 基準改正には衛生事項、品質事項、保健事項の項目があり、そしてそれぞれにひも付く形でガイドラインがあります。それぞれの項目の経過措置期間はさまざまで、昨年の改正のものと重なっている部分がありますが、2030年3月までに改正することとなっています。なお、カシューナッツの義務化の経過措置期間は2年と決められています。

 また、今後FOPNLの包装前面栄養表示やデジタルツールの活用についてのガイドラインの作成が本格的な検討に入ります。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 食品表示制度は、国際基準との整合性を踏まえ、分かりやすさを観点に見直しが行われています。原材料のまとめ方などさまざまなルールによる分かりにくさを改善するため、できるだけ横断的な表示ルールにしようというものです。

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 まず、消費者基本計画で改正の大筋が決められ、検討会や懇談会において具体的な検討が行われ、基準改正が行われるという流れで進んでいきます。

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食品表示制度の概要

アレルギー表示の改正

 本年4月にアレルギー表示の改正が行われ、特定原材料(別表14)にカシューナッツ、準ずるものにピスタチオが追加されました。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 基準改正はカシューナッツのみで、経過措置期間が2年と定められていますが、ピスタチオは推奨表示の通知という形で、経過措置期間はありません。この改正により義務表示が9品目、推奨表示が20品目になります。

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 アレルギーの発症数や重篤度を勘案し表示する必要性が高いものが表示基準となり、それよりも少ないが症例数が増えているものが通知となります。最近では木の実類の症例数が多くなっており、くるみとカシューナッツが症例数も多く重篤度も高いため特定原材料に入っています。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 食品表示基準のQ&Aには、任意表示の方法について、29品目が対象であることが明確になるよう、表示枠に近接した箇所に表示するようにという回答があります。今まではマトリックスのような形での記載もありましたが、29品目になったため、表にすることが難しく、文字で、アレルゲン特定原材料等というような任意表示をするようです。

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 表示すべき品目は3年ごとに消費者庁が行う全国実態調査に基づいて決められます。この調査で2回続けて20位以内に入ると推奨表示が検討されます。ピスタチオは令和3年と令和6年の2回入ってきたため推奨表示になりました。

 次の全国実態調査は令和9年ですので、今回入っているペカンナッツ、ヘーゼルナッツが次回も20位以内に入ってきた場合、これらも推奨品に入ってくる可能性があります。

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個別品目ごとの表示ルールの見直し

 2024年5月から16回、分科会が開催され、最初の14回は旧JAS法の見直しとして、品質事項が検討され、昨年の11月に2回、衛生事項に関する検討が行われました。

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 旧JAS法には別表があり、個別品目ごとに別表3、4、5、19、20、21と細かく決められています。さまざまな団体にヒアリングすることで、この別表の項目をできるだけ横断的な表示に修正し、2025年3月改正が20品目、2026年4月改正は22品目の合計42品目の基準改正が行われました。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 第8回から第12回までの分科会で改正された22品目では食品の定義などはあまり廃止されていませんが、別表4にある原材料については、多いもの順になるように多くの項目が削除されています。

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 第13回からの分科会では、トマト加工品、漬物などに原材料名は残しているものもありますが、ハム、ソーセージ、果実飲料などは横断的表示にしています。禁止事項も細かく決められていましたが、食品表示基準の第9条に優良誤認に関する禁止事項の記載があるため、ここでは削除となっています。

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 第1回からの改正内容は、調理冷凍食品やチルドハンバーグ、即席めんなど、定義も個別ルールも廃止されているものが多くなり、公正競争規約に記載があれば、表示基準でのルールの記載も不要となっています。

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食用植物油脂、パン、調理冷凍食品、牛肉コロッケの場合

 食用なたね油の場合、名称と原材料が同じ食用〇〇油になっていたものを、横断ルールに合わせ、「なたね油」や「なたね」のような表示になりました。

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 パンの場合、糖類とまとめ書きされていたものが廃止され、糖類を全て多いもの順で表示する、または省略せずにまとめて書く方法になりました。

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 調理冷凍食品の場合、同じ原材料を使っていても、冷凍ぎょうざ、チルドぎょうざ、惣菜ぎょうざでルールが違っていたのを重量順に表示することとなりました。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 また、5の倍数で書くという皮の率のルールは削除され、皮の率のルールはなくなりました。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 冷凍牛肉コロッケにあった牛肉の率のルールもなくなりました。

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東京都消費生活条例における食品表示の見直しについて

 今回の基準改正に合わせ、東京都の条例も牛肉の率、えびの率、皮の率などの表示が廃止されています。

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ソーセージのケーシング

 今まではソーセージの皮の表示はなかったのですが、重量順に表示することが困難な場合に限り、添加物の前にケーシング(羊腸)や皮(羊腸)のように記載できることになりました。

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マヨネーズ・ドレッシング

 マヨネーズ・ドレッシングはもともと食品表示基準の別表3において名称が細かく規制されていました。今回の改正点の1つが名称表示の選択肢が拡大したことです。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 例えばキユーピーハーフはサラダクリーミードレッシングとしか表示できませんでしたが、ドレッシングと表示することが可能になりました。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 また使用可能な原材料に酵母エキス追加されました。そして、原材料名表示の自由度が拡大され、例えば「食用植物油脂(大豆油、なたね油)」のように表示できるようになりました。

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旧食品衛生法由来の個別品目ごとの表示ルール改正

 令和7年11月の分科会で見直された表示ルールは4つあります。食品衛生上必要と考えられる事項は維持、横断的表示で代替が可能な事項は廃止、品質に関するものは廃止、そして監視の観点から維持が望ましいと考えられる事項は維持としました。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

別表第19のうち旧食品衛生法に由来する品目の分科会における検討結果の概要

 食肉や乳、また無菌充填豆腐などに改正されたものが多くあります。冷凍食品の凍結前加熱の有無は保健所などの収去の際に必要と判断され維持となっています。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 例えば乳製品の品質で、生クリームの乳脂肪分の重量配合率は削除となりました。乳、乳製品の基準はかなりすっきりしましたが、違反にはなりませんが、公正競争規約には残っています。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 まず「維持」の具体例です。食品衛生上、表示が必要なものに非加熱食肉製品があります。例えば、名称はラックスハムという生ハムなどがそれに当たります。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 「廃止」の例では、水分活性、水素イオン濃度などがあります。消費者にとって必要ない情報だとして廃止となりました。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 「維持」のもう一つの例として、サラミソーセージのような乾燥食肉製品があります。保健所が収去し、個別の規格に合致しているかどうかをチェックする際、乾燥食肉製品の表示が必要だということです。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 調理冷凍食品の凍結前加熱の有無については、食品衛生上必要と考えられるため、表示は必要であるとして「維持」になる、また保健所が収去した際規格基準に合致しているかどうかのチェックのために必要であるという理由で「維持」になるという2つがあります。また、加熱調理の必要性の項目の「加熱して召し上がってください」はもちろん「維持」となります。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 凍結前加熱の有無と加熱調理の必要性が並んで表示されることが分かりにくいという指摘から、凍結前加熱の有無の表示を枠外の上に持ってきて、「冷凍食品(凍結直前加熱)」のように表示することとなりました。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 冷凍えびフライを例に取ると、未加熱の場合、枠外の上に冷凍食品(凍結前未加熱)と表示します。原材料名も重量順にえびが最初に来る横断的表示にし、衣の率の記載もなくなりました。しかし、改版せずに引き続き原材料のまとめ表示や皮の率の表示、非加熱の表示をすることはできます。経過措置期間が2030年3月末までですので、何かの機会に改版を検討することになると思います。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 今後の検討課題として、乾燥ワカメやトマト加工品など幾つかの品目が残っています。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 食品表示基準の他に、公正競争規約という業種によって自主的に決めているルールがあります。牛乳や即席めんなどは公正競争規約により、表示があまり変わらないことがあります。これは、食品表示基準の別記様式一に記載されている「消費者の選択に資する適切な表示事項は、枠内に表示できる」に基づいているものです。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

日本版包装前面栄養表示ガイドライン

 今年の2月に公表された栄養表示ガイドラインでは、裏面にある栄養成分表示とは別に表面にFOPNLと呼ばれる様式が示されています。このFOPNLの第一号は塩蔵ワカメだと思いますが、食塩相当量が容器包装に入った状況で書かれていましたが、塩抜きした食塩相当量を書くことができ、分かりやすくなった事例です。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 この様式は横書きでも縦書きでも構いません。食品単位はできるだけ1食分と表示するようにとなっています。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 また摂取基準値は、日本国民の平均的な基準値を取って、例えばエネルギーは2,200キロカロリーとし、その割合を示しています。ただ、個々の消費者にとって必要な摂取割合は何%なのかを啓発する必要性があると思います。

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食品期限表示・ガイドラインの見直し

 このガイドラインは、2025年3月に改正になった後、期限表示の見直しが進んでいます。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 もともと食品には消費期限と賞味期限が決められていますので、その定義にふさわしい言葉を表示するように、また微生物試験、理化学試験などで科学的、合理的に設定するものだとしています。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 安全係数は食品の特性に応じて設定するが、できるだけ1に近づけることが望ましいとしており、これが食品ロス削減の対応として大きなものとなっています。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 牛乳の賞味期限が15日から18日に延びているメーカーもあり、確実に食品ロス削減の対策が進んでいると思います。

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デジタルツール活用の今後の動向

「食品表示へのデジタルツール活用検討分科会」

 2024年10月から開催されていた分科会の取りまとめが昨年12月に公表され、デジタルツール活用の方向性が示されました。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 現行のパッケージにおいて全て表示されていた項目のうち、安全に関わるアレルギー、期限、保存方法、そして栄養表示は残しますが、それ以外は二次元コードで読み取るというものです。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 このデジタルツールの活用は任意で事業者が決めます。管理方法は事業者が分散管理をします。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 ツールはスマホのQRコードで読み取る方法ですが、ロット番号を選択するような2段階表示もありとなっています。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

 広告は義務表示と分けること、そして監視のために修正履歴の保管をするようにとしています。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

デジタルツール活用の食品表示のガイドライン策定(2026年度~)

 統一したルールについては、今後消費者庁で検討されますが、2026年度以降、運用方法、包装容器への表示、デジタル表示の選択などについて食品表示懇談会において議論される予定です。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

まとめ

 アレルギー表示制度について、カシューナッツの義務表示追加、ピスタチオの推奨表示が決定されました。個別品目の表示は横断的な表示に乗せていく方向へ見直されました。これに伴い品目によっては細かく変わってきますので、経過措置期間が2030年3月までと長く取られています。

 FOPNLが始まりました。2025年3月に期限表示ガイドラインが公表され、期限表示の見直しが進んでいます。デジタルツールの活用についてはガイドラインが策定される予定です。

講演資料:「食品表示制度の動向~2026年4月1日改正食品表示基準を中心に~」より

森田 満樹氏
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一般社団法人Food Communication Compass 代表
消費生活コンサルタント
森田 満樹 氏

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