食品表示法制定を知る!注目すべきは細則

新しい食品表示制度への経過措置期限となる平成32年3月31日まで残すところあと1年半。駆け込みリスクに備えて、3回連続で食品表示法の制定経緯や対応準備・注意点をご紹介して参ります。

はじめに

 前回は、食品表示法制定への経緯、対応点、経過措置期限をお伝えして参りました。第2回は、その対応点に加え、平成27年4月食品表示法制定以降の食品表示基準の改正や調整に時間が要される細則を中心に解説いたします。特に食品表示基準の改正へは注意を払う必要があります。「食品表示法」など法の制定は国会の審議を経て成立されますが、その枝葉となる内閣府令や各省令の改正は、パブリックコメントなど一般に意見を求める手続きで決められるため、比較的短い期間で決定、公表されます。改正前の制度だけにとらわれないよう注意を払い、早期に対応することが大切です。

食品表示基準の改訂履歴

 平成27年4月食品表示法制定以降の食品表示基準の改正履歴を整理しました。

▼図表1. 食品表示基準の改正

No. 改正年月日・改正号 主な改正内容
1 第1次改正(平成27年6月1日消食表第276号) 詰め合わせ食品表示
2 第2次改正(平成27年9月14日消食表第495号) 生鮮食品表示の方式
3 第3次改正(平成27年12月24日消食表第655号) 義務表示事項
4 第4次改正(平成28年3月31日消食表第202号) 添加物表示、製造所固有記号の届出
5 第5次改正(平成28年8月9日消食表第532号) 業務用加工食品の製造所固有記号制度
6 第6次改正(平成28年11月17日消食表第706号) ダイズ・トウモロコシの検査方法
7 第7次改正(平成29年3月28日消食表第169号) アレルゲン・遺伝子組み換え検査方法
8 第8次改正(平成29年9月1日消食表第407号) 加工食品の義務表示事項
9 第9次改正(平成30年1月19日消食表第20号) アレルゲンを含む食品表示
10 第10次改正(平成30年2月8日消食表第58号) 食品添加物公定書公表
11 第11次改正(平成30年3月28日消食表第154号) 生鮮食品の機能性表示
12 第12次改正(平成30年7月10日消食表第375号) 防カビ剤指定


出典元:消費者庁ホームページより編集
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/past_amendment/

食品表示法制定による主要対応点及び食品表示基準改正点

 図表2では、平成27年4月に制定された食品表示法と制定後の食品表示基準の改正の関連性を整理しました。

▼図表2. 食品表示法制定による主な対応項目と食品表示基準改正点との関連

No. 食品表示法制定による新たな対応 食品表示基準の改正関連
1 加工食品と生鮮食品の区分の統一
2 製造所固有記号の使用に係るルールの改善 第3・4・5次改正
3 アレルギー表示に係るルールの改善 第9次改正
4 栄養成分表示の義務化
5 栄養強調表示に係るルールの改善
6 栄養機能食品にかかるルールの変更
7 原材料名表示等に係るルールの変更 第8次改正
8 販売の用に供する添加物の表示に係るルールの改善
9 通知等に規定されている表示ルールの一部を基準に規定
10 表示レイアウトの改善
11 経過措置期間 第8次改正


出典元:消費者庁ホームページより編集
http://www.ffcr.or.jp/upload/tenka/ef51a5c71da346a927323a6e7bf4f0de4b25675b.pdf

 この食品表示法の制定により注視すべきはNo.4,5,6の栄養表示に関する領域です。より豊かな食生活を望む消費者の声を反映したためです。そのため、多くの食品メーカーはこの領域に細心の注意を払いますが、これ以外の領域で食品表示法制定後の表示基準改正もあったため、制定当初のガイドブックにとらわれず、あらためて対応確認をしておくことが必要です。栄養表示に加えて、特に図表2.のようにNo.2 「製造固有記号の使用に係るルールの改善」、No.3 「アレルギー表示に係るルールの改善」、そしてNo.7 「原材料名表示等に係るルールの変更」においては改正関連が高く理解を深めておきましょう。

主要対応点の再確認 (改正の改正も・・・)

 では、主要対応点で見落としがないようにポイントの見方を再整理しておきます。わかりやすい確認方法として消費者庁ホームページにある「食品表示基準について」の改正と合わせて「食品表示基準Q&Aについて」の改正も合わせ読むことがあります。「食品表示基準Q&Aについて」も基準改正に伴う変更点が詳細に説明されているからです。また「食品表示基準Q&Aについて」は第1章総則から第5章雑則と附則、別添で構成されています。それぞれの改正点が記されていますのでどの項目に改正が示されているか見落としがないようにしましょう。なお、Q&Aの中には改正の改正もありますのでご注意下さい。


確認:消費者庁ホームページ 「食品表示法等(法令及び一元化情報)」
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/

 代表的な確認ポイントをいくつか例示いたします。

(1)製造固有記号に係る確認ポイント例

食品表示法による製造固有記号の主な対応点は以下の通りです。

・同一製品を2以上の製造所で製造している場合に、製造所固有記号の表示をもって製造所の所在地及び製造者の氏名又は名称に代えることができる。

 これに関して「食品表示基準」の第5次改正では、食品表示基準の総則-6「業務用加工食品における製造所又は加工所の所在地及び製造者又は加工者の氏名又は名称」において、「『製造所』には『加工所』と取り扱われるものを含む」と明記されています。
 この対応詳細の一つとして「食品表示基準Q&Aについて」 第2次改正(平成27年12月24日消食表第660号)を確認すると、「食品表示基準Q&Aについて」「第2章 加工食品」及び「別添 製造所固有記号」で対応変更点が示されています。以下に一例をお示しします。

*以下でお示しする「加工-243」は第4次改正(平成30年1月19日消食表第21号)により「加工-244」へ改正され下記5を除く1~4について再改正がありましたのでご注意ください。

Q:(加工-243)詰め合わせ食品の表示方法について教えてください。

A: 5 上記詰め合わせの形態にかかわらず、食品表示基準第3条第1項の表の製造所等の所在地及び製造者等の氏名又は名称の表示については、それぞれ異なる製造所等で容器包装され販売に供する個別食品を詰め合わせる場合、原則、各々の個別食品について表示が必要ですが、一つの独立した商品として販売される食品に該当する場合は、いずれかの個別食品の製造又は加工を行い、かつ、最終的に詰め合わせを行った事業者のみを製造所又は加工所として表示することができます。この場合、表示責任者が詰め合わせ食品の製造又は加工を行う事業者と合意しておく必要があります。

Q:(固有記号-34)食品を製造している工場を有する食品関連事業者と最終的に衛生状態を変化させる小分け包装を行う工場を有する食品関連事業者とが異なる場合、小分け包装後の食品に係る製造所固有記号の届出に当たり、どちらの食品関連事業者を届け出ることになりますか。

A: この場合の製造所固有記号の届出に当たっては、小分け包装を行う工場を有する食品関連事業者(製造者と同様の扱いを受ける加工者)を届け出ることになります。これは、食品の小分け包装を行った工場が、最終的に衛生状態を変化させる行為(製造又は加工)が行われた場所に該当し、公衆衛生の見地から、その工場を表示する必要があるためです。

(2)原材料名表示に係る確認ポイント例

経過措置期限は平成34年とまだ先ですが、原材料名表示についてもその整理には相当の時間を要します。ここでも主な対応例をご紹介します。

・2種類以上の原材料からなる複合原材料を使用する場合は、その複合原材料名の後ろに括弧を付け、複合原材料中の原材料名を複合原材料の原材料に占める重量の割合の高いものから順に表示する。

これに関して「食品表示基準」の第8次改正では、食品表示基準の加工食品-1「義務表示事項」において、「(12)原料原産地名」が新設表記されています。この対応詳細の一つとして「食品表示基準Q&Aについて」 第4次改正(平成30年1月19日消食表第21号)を確認すると、「食品表示基準Q&Aについて」「別添 新たな原料原産地表示制度」で対応変更点が示されています。

■「食品表示基準」 第8次改正より
(加工食品)
1 義務表示事項
(1)~(11)(略)
(12) 原料原産地名(食品表示基準別表第15の1から6に掲げるものを除く。)
②「製造地表示」(食品表示基準第3条第2項の表の輸入品以外の加工食品の1の二の規定による表示)
ア、イ(略)
ウ 表示方法
(ア)~(ウ) (略)
(エ) 加工食品の原材料に占める重量割合が最も高い生鮮食品の原産地が分かる場合には製造地表示に代えて、当該生鮮食品の名称と共にその原産地を表示することができる。
(新設)

■「食品表示基準Q&Aについて」 第4次改正 より

Q:(原原-59)いわゆる22食品群(別表第15の1に掲げる加工食品)の中で、原材料及び添加物に占める重量の割合が50%以上の生鮮食品がないものについて は、どのように表示すればよいですか。

A:3 (新設)なお、塩蔵したきのこ類、塩蔵野菜及び塩蔵果実並びに塩蔵魚介類及び塩蔵海藻類にあっては、大量の食塩に漬けること等により保存性を高めている場合であっても、当該食塩は製品の主要な構成要素とはみなされないことから、当該食塩以外の原材料の中で、原材料に占める重量割合が最も高い原材料に原料原産地表示を行う必要があります。

まとめ

 このように今回の食品表示法制定は従来から非常に多くの約束ごと・義務化が設けられました。しかし、情報化が進んだとはいえ、新たな食品企画や販売方法、仕入施策の多様化など食品を取り巻く市場・経営環境が大きく変化しています。このため総花的な法律制定とはならずかなり細部にわたる法律であることが特徴です。表示基準改正も多く生じ、今後においても基準の見直しに向け多くのパブリックコメントが募集されています。改正も含めその確認に十分な注意を図ることが経過措置期間終了間際の駆け込みリスクを減らす基本となります。次回は、これら実務面での駆け込みリスクと注意点をご紹介いたします。


徳永 税 執筆者 
柏の葉技術経営研究所 代表
中小企業診断士 / 1級総菜管理士 / 中級食品表示診断士 / JHTC認定HACCPコーディネーター
徳永 税 氏

東京大学大学院総合文化研究科 修士課程修了。1級総菜管理士・中小企業診断士。
食品メーカー開発部門にて新製品の研究開発、工場で品質保証の責任者としてFSSC22000食品安全チームリーダーを務める。
2012年、柏の葉技術経営研究所を設立。FSSC22000、ISO22000認証取得、HACCP構築、製品開発の支援を行う。

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