INDEX
1.2025年以降の法改正一覧
2.食品事業者さま必見!2025年以降に対応が必要となる制度
3.機能性表示食品制度の届出確認期間の見直し
4.食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度
5.【まとめ】2025年以降の法改正、適切な対応を要確認
2025年以降の法改正一覧
2025年は、食品事業者にとって重要な法改正が次々と施行される年となります。近年の社会情勢や環境の変化に伴い、企業は新たな規制や制度に対応する必要があります。
以下で具体的な内容を見ていきます。
施行開始 | 改正 | 内容 |
---|---|---|
2025年4月1日 | 「くるみ」のアレルゲン表示義務化の経過措置終了(令和7年(2025年) 3月31日まで経過措置) | 2023年3月9日に施行された食品表示基準の改定によりくるみのアレルゲン表示が義務づけられた。完全施行は令和7年(2025年) 4月1日となり、製造・加工・輸入・販売される加工食品はくるみの表示義務対象となる。 アレルギー表示の詳しい記事はこちら↓ 「食物アレルギー表示の最新情報とポイント」 |
2025年4月1日 | 機能性表示食品の届出に関する事項の見直し | 機能性表示食品の届出確認期間は、2025年4月1日より、60営業日に変更。(従来60日) |
2025年6月1日 | 食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度 (令和7年(2025年)5月31日までは経過措置適用) |
食品用器具・容器包装について、安全性を評価した物質のみを使用可能とするポジティブリスト制度を導入。 |
食品事業者さま必見!2025年以降対応が必要となる制度
2025年以降に施行される中でも、食品業界に影響を与える項目について、食品事業者様はしっかりと理解を深めておく必要があります。
以下より、機能性表示食品制度の届出確認期間の見直し、食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度完全施行について解説していきます。食に関わる全事業者が対象となり一部罰則もあるため、正確な理解が不可欠です。
機能性表示食品制度の届出確認期間の見直し
機能性表示食品とは、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠を消費者庁長官に届け出ることで、特定の保健の目的が期待できる旨を表示できる食品のことです。
消費者が健康の維持や増進に役立つ食品を選びやすくすることを目的としています。
見直しの背景
紅麹製品による健康被害問題を契機に、機能性表示食品制度の在り方が大きく見直されました。
2024年4月に開催された消費者庁における機能性表示食品を巡る検討会では、医薬品成分の含有や規制強化の懸念について議論され、健康被害情報の報告義務化、GMPの義務化、新規成分の届出期間延長、表示方法について改正が提言されています。
機能性表示食品に関する今後の対応としては、①健康被害の情報提供義務化、②GMPの要件化、③届出情報の表示方法の見直し、④届出確認期間の見直し、などが取りまとめられました。
④届出確認期間の見直しについては、2025年4月1日施行、即日実施されます。

消費者庁「機能性表示食品の今後について」より転載
ポイント
届けられた内容を確認し、受け付ける期間が変更となります。従来は60日でしたが、2025年4月1日以降は60営業日に変更されます。
また、新規成分に係る届出資料を慎重に確認する手続きとして、表示内容の確認に時間を要すると消費者庁長官が認める場合に、特例として期間の延長、専門家からの意見聴取が行われます。その際受付期間は120営業日です。
参考
機能性表示食品制度のより詳しい内容については、「機能性表示食品について(消費者庁)」をご確認ください。
食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度
2020年に施行された改正食品衛生法において、食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度が導入されました。食品用器具・容器包装のポジティブリスト(PL)制度とは、食品と接触する可能性のある食品用器具・容器包装について、安全性を評価し使用を認められた物質や使用可能な量などの条件をまとめた一覧表(ポジティブリスト)を作成し、それ以外の使用を原則禁止するという規制の仕組みです。
ポジティブリストへの転換に伴う現場の混乱を考慮し、施行後5年(令和7年(2025年)5月31日まで)を経過措置期間としていましたが、令和7年(2025年)6月1日より完全施行となります。
それ以降は、ポジティブリストに収載されていない物質は使用できなくなるため注意が必要です。(経過措置期間中に製造されたものは可)
ポイント
ポジティブリストの対象となるのは、「合成樹脂」(食品衛生法施行令第1条)です。
使用が認められる物質のリスト(ポジティブリスト)が作成され、これに掲載されていない物質の使用は原則禁止となります。器具容器包装の「合成樹脂」である原材料には、国の定めるポジティブリスト収載物質以外のものを使用してはなりません。
他の材質の器具・容器包装であって食品接触面に合成樹脂の層が形成されている場合の合成樹脂も対象範囲となります。熱可塑性を持たない弾性体であるゴムは合成樹脂に含みません。
参考
食品業器具・容器包装のポジティブリスト制度のより詳しい内容については、「食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について(2025年5月31日まで)(厚生労働省)」をご確認ください。
また、以下記事でも制度概要をわかりやすく解説しています。

食品用器具・容器包装のポジティブリストとは?
改正食品衛生法をチェック
【まとめ】2025年以降の法改正、適切な対応を要確認
2025年以降、食品業界では複数の法改正が予定されており、事業者にとって対応が求められる重要なポイントが増えています。特に食品表示など業務プロセスや製品開発に直接影響を及ぼす改正については、確認が必要です。
これら法改正に適切に対応するため、最新情報の収集、社内体制の整備、必要なシステム導入や業務フローの見直しが不可欠です。早めに準備を進めることで、リスクを回避し、競争力の強化にもつながります。今後も継続的に動向をチェックし、適切な対応を行っていきましょう。
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よくある質問
- Q.ポジティブリスト制度とは何ですか?
- A.ポジティブリスト制度は、食品用器具・容器包装に使用される物質のうち、安全性が評価された物質のみを使用可能とする制度です。2025年6月1日から完全施行されます。
- Q.ポジティブリスト制度の完全施行により、事業者はどのような対応が必要ですか?
- A.事業者は、使用する食品用器具・容器包装がポジティブリストに適合していることを確認し、適合性を証明する文書を取得・保管する必要があります。
- Q.ポジティブリストに掲載されていない物質はどうなりますか?
- A.ポジティブリストに掲載されていない物質は、食品用器具・容器包装の原材料として使用することができません。
- Q.機能性表示食品制度とは何ですか?
- A.機能性表示食品制度は、化学的根拠に基づいて特定の機能性を表示することができる食品の制度です。消費者庁に届出を行うことで、機能性表示が可能となります。
- Q.届出確認期間の見直しとは何ですか?
- A.届出確認期間の見直しは、機能性表示食品の届出に関する手続きや確認期間を見直す改正です。
届出確認期間は従来は60日でしたが、2025年4月1日以降は60営業日に変更されます。
新規成分に係る届出資料の確認手続きも強化され、新規成分等、表示内容等の確認に時間を要すると消費者庁長官が認める場合に、受付期間が120営業日となります。 - Q.届出確認期間の見直しにより、事業者はどのような影響を受けますか?
- A.事業者は、届出資料の準備や提出期限に注意し、適切な手続きを行う必要があります。
【参考】
・消費者庁「機能性表示食品の今後について」
・厚生労働省「食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について(2025年5月31日まで)」
・厚生労働省「食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について(2025年6月1日以降)」
・消費者庁「くるみの特定原材料への追加等について」