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CCPモニタリング担当者の自覚と職責(Codex 19.9);HACCP 2022最新版に準拠!!

CCPモニタリング担当者の自覚と職責(Codex 19.9);HACCP 2022最新版に準拠!!

はじめに

 HACCP12手順の9手順目、HACCP7原則「適用」の第4原則目である「CCPモニタリングシステムの確立」について、Codexの「食品衛生の一般原則(CXC-1)」(General Principle of Food Hygiene;GPFH)最新2022年版に基づいて、その「19.9 個々のCCP について、モニタリングシステムを確立する」(手順9 /原則 4)ではどのように記述されているのか、全体3段落の①モニタリングシステムの基本要件、②モニタリング手順の事例、③モニタリング担当者の自覚と職責、から今回はラストの第3段落目を解説します。

 最終段落ということもあり、1段落目の前々回でCCPモニタリングシステムの基礎を解説し、第2段落目の前回で具体例を指し示しながらモニタリングシステムのいくつかのパターンを俯瞰したことをあらかじめ復習して読み進めていただければと思います。

モニタリング担当職責への指示とその範囲

 第3段落目は、個人の職責と遂行責任について記述しています。大きく3文節で構成されていて、1文節目は完全に新たに追加、2文節目と3文節目は従来記述を改訂しています。まず完全新規の第1文節「モニタリングを行う担当従事者は、モニタリングによって措置を採る必要があることが示された場合に実行する適切な手順について、指示を受けておく必要がある」ですがここでいう措置(action)は次セクションの是正措置はもちろんのこと、前々回で解説した逸脱前の「調整」(adjustments)も含まれます。ほぼ似た用法で「修正」(correction)という言葉を使う場合もあります。

第2部 HACCPシステム及びその適用のガイドラインよりCodex 19.9 モニタリング記録と対応 (手順 9/原則 4- 第3段落)

 「調整」の措置はモニタリング手順の範囲であり、そのモニタリング方法と頻度が“連続的であるなど傾向が読み取れるCCPならば、あらかじめモニタリング計画の中に文書で明示しておきます。また是正措置は次回以降の解説となりますが、逸脱した製品を隔離し、製品の安全性を分析する短期的な処置と、製品の正しい処分を判断し、根本原因分析をする中長期的な措置に大きく分かれ、短期的な処置は多くの場合、モニタリング担当者自身によってなされ、一方、中長期的な措置はモニタリング担当者の報告を受けた上長によりなされます。モニタリング担当者用の標準作業手順書には、是正措置項目として、モニタリング担当者がなすべき処置と、上長に報告して是正措置のバトンをつなげること(ある場合は、モニタリング担当者による異なる方法によるチェックや比較校正)、そして記録付けまで文書で明示しておきます。

 モニタリング計画、および是正措置計画の担当者はその職責に応じてきちんと指示を受けるに止まらず、理解し、計画書通りに実施できるよう「訓練」(training)を受ける必要がありますが、これについてはもっと後の「19.12 トレーニング」セクションで解説することとなります。

モニタリングのデータ分析はリスク低減の宝箱

 是正措置を採る選任者にはモニタリング担当者自身が担い得る「短期的な処置」と、通常は上長が担う「中長期的な措置」があること上述いたしましたが、2文節目でいっている「是正措置を採るための知識および権限を有する選任された人」というのはこの後者(モニタリング担当者以外の人)だと捉えていただいてかまいません。

 逸脱発生時に是正措置選任者へ、モニタリングデータを示すことは正しい是正措置のため必須事項ですが、もっと日常的な視点から必要に応じて、モニタリングで得られたデータはリスク低減の観点から評価されてしかるべきです。なぜならば、逸脱に至らないまでも、逸脱への傾向が見られ「調整」する頻度が高まるなどした場合、その根本原因は何であるのか、是正措置選任者は根本原因分析の職責がある(すなわち、力量を有している)ため、データ分析により“重大な変更”が認知せずに起きていたことを察知できるかもしれません。第46回で解説した通り、HACCPは常に現場とフィットして居続けなければならず、「現在進行中の現場」にカスタマイズすることが求められているので、定期的のみならず、重大な変更があった時はいつでも“見直し”をしなければなりません。したがって、プロセス、成分、製品、機器の変更といった前提条件が、プロセスコントロールに影響していないかどうか、それによる臨時の計画“見直し”発動の判断が、あり得るのです。

“記録”は偽装不可能で追跡可能性が担保されているか

 3文節目はもっとも赤字青字が入り乱れていますが、青字の“記録の見直し”についてはもっと後の手順11/原則6の「19.11.2 検証手順」の範疇なので、ここでは割愛された(必要であることには変わりがない)に過ぎません。一方、追記された赤字の部分は、とても大事な要求事項なので詳しく解説します。

 まず、モニタリング担当者は記録に、自らの署名あるいはイニシャルを記述することが求められます。これは遂行責任(Responsibility)の“見える化”です。前々回で示した「誰が(Who)」は、上述したモニタリング担当職責の訓練を受け、理解し、実際に計画書通りに実施できる力量を有しているでしょうか。これがもっと後の手順12/原則7の「19.11.3 文書化と記録保持を確立する」や「19.12 トレーニング」と、その検証につながっていきます。第43回にある食品安全文化へとリンクする必須要求事項だと認識ください。

 ゆえにモニタリング記録を紙でなくデジタルに移行した場合でも、この署名またはイニシャルの要求事項はまったく同様に適用されます。日本でよくある印鑑は不適切だし、電子署名は改ざん不可能である必要があります。

 前版では“記録の見直し”をする検証者(通常は、出荷責任者)までカバーしていました(青字)ので、実は「19.11.2 検証手順」には記述がないのですが、この署名またはイニシャルの要求事項は「検証者には適用除外」などと考えるのは遂行責任の放棄であることを忘れないでおく必要があります。

杉浦 嘉彦
 執筆者 

月刊HACCP(株式会社鶏卵肉情報センター)
代表取締役社長
杉浦 嘉彦 氏

【 講師プロフィール 】
株式会社 鶏卵肉情報センター 代表取締役社長(2005年より)
一般社団法人 日本HACCPトレーニングセンター 専務理事(2007~2024年)
国際HACCP同盟認定 トレーナー・オブ・トレーナー
月刊HACCP発行人、特定非営利活動法人 日本食品安全検証機構 常務理事(農場HACCP認証基準 原案策定 作業部会員)、農林水産省フード・コミュニケーション・プロジェクト(FCP)ファシリテータ、東京都および栃木県 食品衛生自主衛生管理認証制度 専門委員会 委員、フードサニテーションパートナー会(FSP会) 理事、日本惣菜協会HACCP認証制度(JmHACCP) 審査委員、日本フードサービス協会 外食産業 JFS-G規格及び手引書 策定検討委員、その他多数

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