食品安全規格取得の注意すべき事項

■最初に:HACCPの制度化を盛り込んだ改正食品衛生法が、6月7日に衆議院本会議で可決されました。

多様な食品安全規格

 第3者認証に使われる-“HACCP の7原則を要件とする基準 A”を満たす”-食品安全マネジメントシステム規格について、ここでは、第3者認証に用いられるISO22000、FSSC22000、JFS-E-(B/C)を取り上げます。其の他、国際的にも使用されているSQFや、国内の業界団体が運用する業界HACCP等もありますが筆者は詳しくないので述べません。HACCPを含む認証については、下記の一般財団法人 食品産業センターのHPを参照ください。

https://haccp.shokusan.or.jp/intro/howto/auth/

 いずれも民間組織が管理する食品安全マネジメントシステム規格です。

□ ISO22000:国際標準化機構(各国の国家標準化団体で構成される非政府組織)が管理
(今年(2018年)末くらいには規格の改定があります。)

□ FSSC22000:オランダのFSSC財団が管理
http://www.fssc22000.com/documents/home.xml

□ JFS-E-(B/C):JFSM(一般財団法人 食品安全マネジメント協会)が管理
https://www.jfsm.or.jp/

★ISO22000とFSSC22000の関係について簡単に説明されているJAB(公益財団法人日本適合性認定協会)のページ
https://www.jab.or.jp/iso/iso_22000/

 これらの規格名をいれて検索すれば、いろいろな認証機関のHPで規格についての比較など見ることが出来ます。また当コラムでも、前の筆者がいろいろまとめておられるので参照ください。文頭に上げた食品産業センターのHPも参考になります。

世界が認めるGFSI認証

 上記の規格の内、現時点では、FSSC22000のみGFSI認証スキームです。JFS-E-Cスキームは、年内にはGFSI認証がとれると言われています。尚、JFS-E-Bスキームは上位規格としてCがあるのでGFSI認証は受けません。(GFSIについては、後述しています)

 ISO22000がGFSI認証されないのは、1つにはPRP(前提条件プログラム)に関しての規定が、一般的(抽象的)過ぎる為といわれています。その為、国際標準化機構では、「ISO/TS22002-*」を発行し、PRPについて詳細に定めています。“*”は、食品産業分野毎に異なる番号で1は食品製造、2はケータリング、4は食品用容器包装です。

 ただしこの文書は、技術仕様書であり、規格ではありません。ですからISO/TS22002-1はISO22000の審査基準には用いられません。FSSC22000は、ISO22000とISO/TS22002-*と独自の追加要求事項から出来ています。追加要求事項は、下記に述べる“GFSIの規格に対する要求事項”を反映しており、最近の世界の食品分野での事故や事件に対する食品安全上の対策を含むものです。

GFSI:世界食品安全イニシアチブ(Global Food Safety Initiative)

世界の流通業界大手が設置した消費財フォーラム(CGF)が運営しています。
ミッションは“世界中の消費者に安全な食品を届ける上で確かな信頼を築くため食品安全マネジメントシステムの継続的改善を推進すること”で、その一環として“ガイダンスドキュメントの要求事項をクリアしている食品安全マネジメントシステムの特定”を行っています。
つまり、自分たちの基準にあった規格かどうか判断しているという事です。ですからGFSI認証規格という事は、世界流通大手が認めた規格といえるといえます。
https://www.mygfsi.com/jp/about-us-jp/about-gfsi/what-is-gfsi-japanese.html
 最初に上げた食品産業センターのHP内 “JFS規格”の項にもGFSIについての記載があります。

 筆者は、ここに上げたいずれの規格も、表現方法、程度の差はあれ、食品安全を担保するマネジメントシステムに関する要求事項を含んでいる事を指摘しておきたいと思います。つまり組織として、個々の事象(現場管理、運用)への対応は当然として、組織の食品安全に対する仕組みに関しても要求されるという事です。

認証を受けるための食品安全規格の選び方

 では、認証を受けようとしたら、どの規格を選べばよいのでしょうか?
 顧客(一般消費者というより、プライベートブランドのブランドオーナーだったり、流通だったりする)の要求がある場合は、選択の余地はありませんが、自社での選択の余地がある場合は、まずは、同業他社、業界団体の状況を眺めつつ、経営に、どれだけ資源(人、物、金)を投入するかで決まるのだと思います。もし同じレベルのコンサルを受けるとすると、認証取得に要する費用は、おそらく

FSSC22000、JFS-E-C>ISO22000>JFS-E- B

となると思われます。

 費用の差は、規格の要求事項の数と詳細さです。ただ、JFS-E-Cは、日本発の出来て間がない規格ですし、現時点ではGFSI認証を受けていない(年内取得予定)ので、ISO22000と同じくらいかもしれません。また、コンサル、認証機関の選択によっては、逆転する可能性もあります。また、JFSは導入間もない事や日本発の規格という事もあって、皆に導入を推進したいという事だと思いますが、HPで、規格の本文、ガイドラインと解説書が無償で提供されています。

https://www.jfsm.or.jp/scheme/documents/

認証取得にかかる費用

 認証取得に必要な資源、コストをざっと上げてみると

(1)認証/適合証明を受ける費用

 いわゆる審査にかかる費用です。審査に必要な工数(人・日)の計算は、規格毎にルールが決まっており、認証機関、監査会社で大きくは違わないはずです。ただし、単価はまちまちで、結果的に費用は、同じ規格に対しても認証機関、監査会社で差がある様です。

 また、認証維持にもコストがかかります。どの規格でも最低年1回は、継続的に審査が発生します。初回審査 次年度以降の定期(登録維持)審査と、3年毎の更新審査があり、定期審査は工数が少なく、初回認証登録、更新審査より安くなります。

ISO22000,FSSC22000,JFSM 等規格名と“認証機関”のキーワードで検索すれば認証機関がヒットします。
■ JAB(公益財団法人日本適合性認定協会)のHPでは、JAB認証の審査機関が検索できます。
https://www.jab.or.jp/system/service/managementsystem/accreditation/
■ またJFMSのHPには、審査会社、認証機関の記載があります。
https://www.jfsm.or.jp/scheme/accreditation/

(2)コンサルタントの費用

 やはり、自分たちだけでやり遂げるのは、難しい場合が多いのではないかと思います。

 大手認証機関は、関連組織でコンサルを実施している場合が結構あります。
またJFSM(B規格)は、審査会社自体がコンサルする事が可能です。当然ながら、審査員自身は、自己のコンサルした組織について審査できないし、審査した組織にコンサルはできません。

 防虫防鼠会社が、個人のコンサルを紹介する場合も結構あるようで、筆者の先輩の審査員の方々も結構防虫防鼠会社紹介でコンサルされています。
 また、大手人材派遣会社でも、審査員や、FSMS経験者を顧問として紹介しています。
 費用は、結構差があるように聞きます。もちろん、組織規模、対象製品の数、複雑さ(食品安全上のハザードの多さ、工程の複雑さ、対象事業所数)によりますし、コンサルの内容にもよるのでしょうが、工数単価としてみたときに結構差があるようです。

 筆者は、ある講習会で、企業担当者の方から、ある近畿地方の県の、HACCPコンサル(特定の規格ではなく、HACCP的手法のコンサルか自治体HACCPのコンサル)のフィーを聞いて高いなーと思いました。
コンサルの内容をきちんと聞いたわけではありませんが、筆者の知る力量、経験豊富なベテラン審査員が、それなりの規模の会社でFSSC22000規格のコンサルをされる場合より高かったです。コンサルを依頼される際は、上に書いたようないろいろなルートで見積もりを取られるのが良いと思います。ただどのような内容(作業)を依頼するのか(規定類など文書の作成まで依頼するのかなど)条件をきちんと詰めておく必要があります。

(次回へ続く)


 執筆者 
北野 十三 氏
食品メーカーに30年間勤務し、製造現場、生産管理、品質保証、ISO事務局等を担当。
現在ISO9001、ISO22000、FSSC22000、ISO14001、審査やHACCP、FSMSのコンサルティングに携わる。
食品安全に関わる講習会(HACCP、PCQI、JFSMなど)への参加や、ISO、FSSCの審査経験を活かし、食品安全マネジメントシステムの導入や構築・運用改善のヒントとなるような情報をコラムとしてお届けします。

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掲載日 2018年03月20日

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