意外に陥りやすい?HACCPリテラシーを問う

筆者が体験した講習会の「実は」をご紹介

はじめに:ISO22000正式リリース

2018年6月19日にISO22000:2018年版が正式にリリースされました。ISO9001や14001が2015年版に改訂された時と同じく3年以内の移行が求められています。日本の審査機関では、2019年1月から2018年版での審査を受付る様です。
ISO22000を含むFSSC22000の改訂については、今の所スキームオーナー(オランダのFSSC財団)から公式の発表はありません。ISO22000:2018内容は、追加要求事項と重なる部分もありますので、FSSC22000の改訂がどうなるのか興味深い所です。ISO22000は、3年以内の移行が求められていますが、FSSC22000がいつまでに新しいバージョンへの移行を求めるのか不明です。遠からずアナウンスがあるはずので、すでにFSSC認証を受けておられる組織は、認証機関に確認してみて下さい。

食品安全コンサルタントの選び方

■ 食品安全コンサルタントの選び方

前回からつづき)
どんなコンサルタントを選べば良いのかというのはとても難しい問題です。

筆者は、今でこそ審査員ですが、サラリーマン時代は、ISO事務局だったり、製造現場責任者だったりしたので、コンサルタントの方々と接点は多かった様に思いますし、食品安全に関して講習会や審査を通じて思うのですが、自称“先生”が時々いらっしゃるように思います。規格を自分なりに解釈されて“これ(だけ)が正しい。”的で、他の見方を受け入れ様とされない方です。コンサルだけでなく審査員にもおられるように思います。
初めて、食品安全システムを立ち上げられる組織だと、こういう方の方が言われたことをとりあえずやっとけば良いので楽ですが、マネジメントシステムとして重要なPDCAを組織自身で考える事が無くなる可能性があります。コンサルに関して、筆者の考えは、別に機会があれば少々詳しくお話しさせていただきたいと思いますが、ここではこれくらいにします。

■ 人的資源

HACCPを含むどの規格の運用を選ぶにしても、HACCPの7原則12手順の手順1にHACCPチームの編成というのがあります。ISOやFSSCなら、食品安全チームと呼ばれることが多いです。以下筆者は、食品安全チームの語を使用します。

筆者が体験したHACCP講習会で思う事

閑話休題

■「修正措置」と「是正措置」

おかしな話ですが、サラリーマン時代からいろいろなHACCP講習会に参加して感じるのですが、名前にHACCPのつくHACCPのコンサルをされる組織の方々は、ISOを無視されている様に感じます。

端的にそれを感じるのが、“是正措置”の取り扱いです。多分ほとんどのHACCP関係者(ISO、FSSCの構築や審査に関わっていない)は、CCPの許容限界を超えたときなど不適合が起きたときに“是正措置”を取ると表現されると思います。これをISO的に表現すれば、“修正処置”と“是正処置”をとる事になります。ざっくりいってしまえば、ISO的には

修正処置:現品の取り扱いを含め、とりあえずなんとかする。(適合状態に戻す)
是正処置:真の原因を考えて、再発防止策をとる。

事ですが、HACCPで言う“是正措置”は、これらを両方含みます。

筆者は、審査員になる前から、“是正措置”を“修正処置”と“是正処置”に分けて考える事は非常にわかりやすくていい方法だと感じていました。もちろんHACCPでもこのような段階で不適合を処理するのですが、言葉を分けた方がわかりやすくて、結果的に効果的な対策がとれると思います。講習会でたまたま同じグループになったある企業の担当者の方のお話だと、元々地域HACCP認証を受けておられて、新たにFSSCの仕組みを構築しようとしたら地域HACCPのコンサル(先生とお呼びしているそうです)に“是正処置”はHACCPでは使わないと怒られたそうです。規格を運用しようとする組織から見れば、言葉はわかりやすくて同じにしてほしいですよね。

筆者は、初回登録審査で再発防止策が、単なる修正処置に終わっている例を時に見かけます。必ずしもすべての事象に修正処置と是正処置が必要かどうかは難しい問題ですが、明らかにこの対応では、同じ原因で不適合が再発する可能性があるでしょう。という例があります。
このあたりコンサルタントの腕の見せ所の一つかもしれません。

■ 知られざるHACCPの流派?

それにHACCPには、武道のように流派があるようで、おおもとは、CODEX HACCPであるのですが、組織によって微妙に説明が異なっていたり、講習会で力を入れて説明する部分も違ったりします。ある講師の大学の先生なども普段とは違う組織の講習会で講演されるときに、“久しぶりに ***さんの講習会に呼ばれましたがちょっと緊張しています。”などと冗談とも本音とも区別のつかない事をおっしゃっておられました。
筆者のような新参者には、はかりしれない業界のつながりがあるのかもしれません。

HACCP事務局に必要な人材は?

さて、普通は、この食品安全チームの一部のメンバーが、“事務局”として認証取得の際の審査登録機関などの窓口業務等を行います。そして、品質管理や品質保証を担当する部署の長がチームリーダーとなっている事が多いです。品質管理や製造の組織長の下に若手を事務局として配置されることもあります。そして、この 食品安全チームメンバーは、組織の食品安全に関わるすべてを判断できる必要がある ので、品質管理、製造現場はもとより、総務、設備、物流など組織のすべての側面を含む必要ありです。さらに、チームリーダはそれらのメンバーをまとめ、必要な教育(食品安全に関わる)を受けさせチームとしての力量を確保し、必要な場合経営層に“物申す”必要があります。ですから、それなりのマネジメント層から選ぶ必要があります。一方、 仕組みを立ち上げる際には、規定類(ルール)、手順書、記録類の書式を新規に作ったり、整理する必要がある ので、結構な事務作業が発生します。食品安全チームのメンバーで手分けする方法もありますが、現場メンバーなどは、生産第一でなかなか時間がとれない事が多いものです。ですから事務処理能力の高い(エクセル、ワードなどの入力、利用に詳しい)人材が必要です。

それから決して、作業を一人に投げないことが重要です。小さな組織で、若手に事務局を丸投げしている例を見たことがあります。担当者は品質管理の若手の方で、真面目そうな方で生産現場のベテランに色々言われたり、あれもこれも文書を一人で作ったりされたようで審査しながら気の毒でした。結局、マネジメント層が、きちんと必要な業務量を把握されておらず、必要な人的資源を投入していないのが原因ですが、組織には、コンサルタントが入っていましたから、その状況をきちんと経営層に伝えたのかも疑問でした。

特に仕組みの立ち上げ時には、人的資源の投入が必要で、事務作業が特定の人間に集中しないような人材の配置、活用が必要です。


 執筆者 
北野 十三 氏
食品メーカーに30年間勤務し、製造現場、生産管理、品質保証、ISO事務局等を担当。
現在ISO9001、ISO22000、FSSC22000、ISO14001、審査やHACCP、FSMSのコンサルティングに携わる。
食品安全に関わる講習会(HACCP、PCQI、JFSMなど)への参加や、ISO、FSSCの審査経験を活かし、食品安全マネジメントシステムの導入や構築・運用改善のヒントとなるような情報をコラムとしてお届けします。

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掲載日 2018年06月20日

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