HACCP

モニタリングシステム(Codex 19.9);HACCP 2022最新版に準拠!!

モニタリングシステム(Codex 19.9);HACCP 2022最新版に準拠!!

はじめに

 今回より、HACCP12手順の9手順目、HACCP7原則「適用」の第4原則目となる「モニタリングシステムの確立」について、Codexの「食品衛生の一般原則(CXC-1)」(General Principle of Food Hygiene;GPFH)最新2022年版に基づいて、その「19.9 個々のCCP について、モニタリングシステムを確立する」(手順9 /原則 4)ではどのように記述されているのか解説を進めます。本セクションは3段落で構成されていて、ざっくり①モニタリングシステムの基本要件、②モニタリング手順の事例、③モニタリング担当者の自覚と職責、となっています。一つひとつ、ひも解いていきましょう。

 今回はその第1段落目を解説しますが、今回も「原則」編のレビューは欠かせません。第38回での「モニター」の定義とあわせて、第39回の「コントロール(動詞・名詞)」を「逸脱」や「是正措置」の定義まで含めて、これらがどのように現場適用と紐づけていけるか一緒に考えていきましょう。

ここでの“モニタリング”および“逸脱”はCCPのみに限定

 下図をご覧ください。2020年大幅改定の前(2003年版以前)と以後とで青字赤字に区分け表記しております。1段落目は細かく文節ずつ見ていくと4文節で、3文節目がもっとも青字(旧版)と赤字(新版)が入り乱れています。わかりやすいところから整理していきましょう。まず1文節目ですがわざわざ冒頭で「CCPのモニタリングとは」とことわっています。これは2020年版より前の「コントロールする」(つまり動詞)がCCPのみだったのに対し、2020年版以降はCCPのみではなくなったことが大きな変更点として挙げられ、一方で本セクションはHACCP原則4のモニタリングだけに限定していますので、わざわざ「CCPの」とことわる必要がありました。

 次に2文節目と4文節目の“CCPの”「コントロールが失われたこと」(loss of control)と「逸脱」(a deviation)ですがこれは言い方の違いで意味は同じです。「逸脱」=「コントロールが失われたこと」ということです。ちなみに、「逸脱」も2020年版以降の大きな変更点としてCCPの逸脱(つまり、“許容限界を満たさない”こと)だけでなく“GHP手順に従っていないこと”が加わりました。GHP(適正衛生規範)の理解については第19回を参照してください。GHPは許容限界が求められていませんが、一方で本セクションはHACCP原則4のモニタリング(すなわちCCPのモニタリング)だけに限定していますので、わざわざ「CCPの」とことわっているということは、すなわち“許容限界を満たさない”ことを指しています。

 CCPとGHPの違いはまだまだ「わかりにくいよ」と感じられる読者も多いと思います(実際、有資格者でも混同されている場合があります)ので、また後々比較表を例示して解説をいたします。


モニタリングは5W1Hで“見える化”する

 上述を踏まえて3文節目を見るとまず、関連しそうなのが旧版の「プロセスをコントロールする」という表現です。プロセスコントロール(工程管理)は第20回および第21回で解説した通りCCP候補として示されました。ただしその多くはGHPとして取り扱われ、そのうち重大(significant)ハザードと紐づけられるコントロール手段のみをCCPとすることを第58回の「ハザード分析-概観」で解説いたしました。GHPのより重要な役割を見直したため表現を現代化しなくてはいけなくなりました。

 次は赤字だけ見ていきましょう。「方法と頻度」は日本人にもなじみのある5W1H(「いつ(When)」「どこで(Where)」「誰が(Who)」「何を(What)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」)に沿ってご説明すると、まず「What」がCCPでコントロールするターゲット(すなわち、重大ハザード)です。「Why」はその重大ハザードのコントロール手段はなにか決める理由として第63回で解説しています。コントロール手段から必須(Critical)なステップCCPが「Where」です。あと決めなければいけないのが残る「When」「Who」「How」となります。この3つが“方法と頻度”というわけです。

 ただし、「What」はモニタリングの目線からすると、重大ハザードの許容限界を測定または観察可能な“許容限界”に置き換えられているとも言えます。

 このモニタリングメニューはガイドラインで付属“HACCPワークシート”として示されていますが、これもまた後々に事例をお示ししましょう。

傾向が読み取れるCCPならば逸脱前に調整できる場合も

 CCPモニタリングの第一目的は、許容限界の逸脱を検出できること(第2文節目)です。さらにモニタリング方法および頻度は、製品の適時な分離および評価を可能にするために、許容限界の範囲内での何らかの不具合を、適時に検出可能であるべきです。このモニタリング方法と頻度が“連続的である”場合と“連続的でない”場合については次の段落に記述されていますので次回解説します。

 ここではていねいに第4文節目を学習しておきましょう。「可能な場合」(Where possible)と限定していますが、CCP逸脱が毎日何度も繰り返し起こるなどというのはできるだけ避けたいものです。なぜならばCCP逸脱時の是正措置というのは結構大変なオペレーションであって、かつラインを止めれば生産性にも甚大な悪影響を及ぼしてしまうからです。もし経時的に傾向が読み取れるのであれば、逸脱が起こる前に調整(adjustments)してなるべく逸脱を起こさないようにするという考えはとても大切です。もちろん傾向が読めないCCP(たとえば金探の反応“あり”“なし”のように)もあることは踏まえておいてください。

杉浦 嘉彦
 執筆者 

月刊HACCP(株式会社鶏卵肉情報センター)
代表取締役社長
杉浦 嘉彦 氏

【 講師プロフィール 】
株式会社 鶏卵肉情報センター 代表取締役社長(2005年より)
一般社団法人 日本HACCPトレーニングセンター 専務理事(2007~2024年)
国際HACCP同盟認定 トレーナー・オブ・トレーナー
月刊HACCP発行人、特定非営利活動法人 日本食品安全検証機構 常務理事(農場HACCP認証基準 原案策定 作業部会員)、農林水産省フード・コミュニケーション・プロジェクト(FCP)ファシリテータ、東京都および栃木県 食品衛生自主衛生管理認証制度 専門委員会 委員、フードサニテーションパートナー会(FSP会) 理事、日本惣菜協会HACCP認証制度(JmHACCP) 審査委員、日本フードサービス協会 外食産業 JFS-G規格及び手引書 策定検討委員、その他多数

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