コラム

Codex2020最新版に準拠!! “より注意が必要な一般衛生管理”を検証する -食品安全ハザードを自覚する その⑤

はじめに

 「ハザード」の予防のために“より大きな注意が必要な一般衛生管理”については、「製品の記述」と「プロセスの記述」の有効性をよく考えて評価してリストアップするというお話を前々回に、そして正しい衛生手順や規範を遵守している状態をモニターし、不備があれば修正し、食品安全上の前提条件が崩れてしまうことが想定される事態にあっては是正措置を採るというお話を前回はいたしました。

より注意が必要な一般衛生管理は検証も必要

 今回は検証についてお話しします。「検証」とは、コントロール手段があるか、意図した通りに運用されているかを決定するために、モニタリングに加えて、方法、手順、試験、およびその他の評価を適用することと定義されます。一般にHACCP原則の検証では「HACCP計画の妥当性確認」と「HACCPシステムの遵守検証」が必須の要求事項となりますが、一般衛生管理でも「より大きな注意が必要な衛生管理」、すなわちハザードと紐づけられるような一般衛生管理項目については、モニターだけでなくて、別の評価方法(すなわち検証手段)が加えられる必要があると考えられます。

 以下に挙げる検証手段は、別にHACCP原則に“基づく”衛生管理を実施する事業者でなくとも、たとえば従事者が50人未満等である小規模営業者のHACCPの“考え方”を取り入れた衛生管理を実施する事業者であっても共通で、日本の食品等事業者に義務的に課せられるHACCPに沿った衛生管理における国際的推奨事項です。

 検証手段って相当大変なのでしょうか?と心配される向きも多いと思います。常に必要な質問は「衛生管理手順が効果的に実施されているか、計画されている場合にはモニタリングが行われているか、要求事項が満たされない場合には適切な是正措置が採られているか」の3つです。この問いに対して、①GHP手順、モニタリング、是正措置および記録のレビュー、②事業に関連する製品、プロセス、およびその他のオペレーションに変更が生じた場合のレビュー、③クリーニングの有効性評価という3つのアクション(例)を採っていきます。また検証活動も必ず記録をして保管していただく必要があります。以下具体的に見ていきましょう。

日常的な検証活動

 最初の、「衛生管理手順、モニタリング、是正措置および記録のレビュー」というのは日常的な検証活動のことです。日常的な検証活動とは遵守検証といって、定められた手順をきちんと守って実施されているかを見ていきます。確実にやらなければならないのは記録のレビューです。ビジネス上では、記録類に上長がサインする、または印鑑を押すといった場面がよく見受けられます。押印は日本独自の風習であまり推奨できませんが、サイン(イニシアルも可)をする意味は、記録を見て異常がないかを見て決裁しているということですよね。記録をチェックして、定められた責任者が記録しているか、頻度どおりか、その書き方は適切なのか、逸脱はなかったか、逸脱があったのに是正措置が採られていないということはないか、などといったことをざっと確認してサインします。記録のレビューにも頻度が決められていないといけません。記録のレビューの頻度は、その衛生管理項目が遵守されていないとわかったときに何をすべきかによります。たとえばアレルゲンのラベルが間違っていたといった場合、これは回収リコールに発展し得るお話ですから、できれば出荷前に記録を確認して出荷OKを出すと回収コストを無駄にかけずに済みますよね。

 日常的な遵守検証にはほかに、作業手順が守られているかをときどき上長が現場を見回って点検する(日報に記録を付けること!)とか、洗浄後の食品接触面をタンパクチェックなど迅速検査法で検査するとか、使用している計測器を校正するとかさまざまありますので、それらは次回以降、個別の衛生管理の解説で紹介しましょう。

変更管理は計画の見直し評価

 製品、プロセス、およびその他のオペレーションに変更が生じた場合、ハザードやその管理方法が変わる可能性がありますので、変更内容をハザード管理の観点からレビューして衛生管理計画に見直しが必要かどうか評価して変更内容とレビュー結果を記録に残します。

クリーニングの有効性評価

 より大きな注意が必要な衛生管理項目として、たとえば非加熱製品あるいは加熱後包装までのそのまま食べられる食品の、食品接触面の予防的なサニテーションが挙げられた場合、有効性評価が推奨されます。クリーニングしやすい滑らかな平面のクリーニングであればさほど心配いりませんが、分解洗浄、クリーニングしにくい箇所があるなどの場合は、手順を詳細に定めて、その手順通りにクリーニングやサニテーションを実施した場合にきちっと残留物がないかどうか、ATP検査や蛋白チェックなどで洗い方の有効性を評価して記録に残します。

衛生管理のキーとなる側面

 ハザードの自覚、より大きな注意が必要な衛生管理の特定、モニタリング、是正措置および検証について、次回からいよいよ各論に入ります。

杉浦 嘉彦
 執筆者 

月刊HACCP(株式会社鶏卵肉情報センター)
代表取締役社長
杉浦 嘉彦 氏

【 講師プロフィール 】
株式会社 鶏卵肉情報センター 代表取締役社長(2005年より)
一般社団法人 日本HACCPトレーニングセンター 専務理事(2007年より)
月刊HACCP発行人、特定非営利活動法人 日本食品安全検証機構 常務理事(農場HACCP認証基準 原案策定 作業部会員)、農林水産省フード・コミュニケーション・プロジェクト(FCP)ファシリテータ、東京都および栃木県 食品衛生自主衛生管理認証制度 専門委員会 委員、フードサニテーションパートナー会(FSP会) 理事、日本惣菜協会HACCP認証制度(JmHACCP) 審査委員、日本フードサービス協会 外食産業 JFS-G規格及び手引書 策定検討委員、その他多数

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