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HACCP計画の妥当性確認の5文節について「いつ、なにを」を俯瞰してみよう

HACCP計画の妥当性確認の5文節について「いつ、なにを」を俯瞰してみよう

はじめに

 Codex「食品衛生の一般原則(CXC-1)」(General Principle of Food Hygiene;GPFH)最新2022年版、HACCP12手順の11手順目、HACCP7原則「適用」の第6原則目である「Codex 19.11:妥当性確認およびシステム検証」の逐条解説。前回は、この「Codex 19.11」の小項目3つを、ふかん(俯瞰)整理してみました。うち「Codex 19.11.1 HACCP計画の妥当性確認」は「HACCP 計画を実施できるようになる前に、その妥当性確認が必要とされている」とあり、次の「19.11.2 検証手順」が「HACCP システムが導入された後、HACCP システムが効果的に機能していることを確認するための手順を確立するべきである」として前後関係にあること、また適所に「19.11.3 文書化と記録保持を確立する(手順12 /原則7)」が紐づいていることを解説いたしました。

 今回から「Codex 19.11.1 HACCP計画の妥当性確認」の解説を進める初回として、まずは妥当性確認の5文節を「なにを“いつ”やるか」の視点で俯瞰するところからはじめましょう。

妥当性確認の線引きは明確化され必須要求事項に

「Codex 19.11 妥当性確認および検証手順(手順11/原則6)」の第1小項目「Codex 19.11.1 HACCP計画の妥当性確認」は、5文節で構成されます。第1文節は前回に解説した(HACCP 計画を実施できるようになる前に)「HACCP計画(確立される7原則の適用)の妥当性確認」が必要とされているというもの。これに加えて、第2文節「コントロール手段とその許容限界の妥当性確認」、第3文節「あなたのオペレーション、製品または製品グループでも完全に適用されるかどうかの注意を払う」、第4文節「コントロールが達成できることを実証するための証拠をオペレーション上から得る」、第5文節「HACCP システムの見直し、および、HACCP 計画の再妥当性確認」と続きます。(赤字はCodex 2020年,2022年 最新版で追加あるいは変更のあった箇所)

HACCP計画の妥当性確認-5文節

 この5文節の各々が、基本は「計画を実施できるようになる前に、必要とされている妥当性確認」です。裏を返せば「実施できる計画を確立するための妥当性確認」です。「実施できる計画」を確立したら、「計画通り実施」するわけですがその実施している状態あるいは結果を「システム」と言います。このHACCP「計画」とHACCP「システム」の関係性については第37回で「古代ギリシア語σύστημα(スュステーマ)」から紐解き解説しているので改めて読み返してみると興味を深められるかもしれません。

 Codex「食品衛生の一般原則(CXC-1)」の前版(2003年版以前)では、そもそもこの妥当性確認(Validation)と検証(Verification)について、「定義」(第40回)は区別されていたものの、「適用」における線引きがはっきりしていませんでした。最新2022年版と比較すると「検証」の構成としての記述に妥当性確認の記述が隠れており、それが本スライドの「黒字」部分であり、新たに記述されたものが「赤字」部分となります。そして単語としての「妥当性確認」(当時は科学的証明とも訳語を充てていました)の適用の記述は「可能な場合は、妥当性確認活動には、HACCPシステムのすべての要素の有効性を確認するための措置を含めるべきである」とシンプルな一文があるだけでした。「青字」は最新2020年版からは消えており「HACCP原則に基づく衛生管理」の実施にあっては必須要求事項(「可能な場合」に限定されない)となり、またあいまいで広義な「有効性確認」は使用されなくなったことで、より「妥当性確認」と「検証」の線引きがはっきり明確化された、と理解することができます。

妥当性確認の“いつ”“なにを”は国際合意事項

 もう一つ、今回おさえていただきたいことは「いつ」に関する記述が5文節それぞれに明確に示されていることです。第1文節「HACCP 計画を実施できるようになる前」、第2文節「HACCP 計画の策定中」、第3文節「外部専門家が開発したHACCP手引き(ガイダンス)を許容限界に使用する場合」、第4文節「HACCP システムの初期導入時および検証手順が確立されたあと」、第5文節「食品の安全性に影響を及ぼす可能性のあるあらゆる変更時」とあります。

 この“いつ”やるかについてはほとんど2020年以降の最新版で追加された記述(赤字)であることもおさえていただきたいポイントの一つです。“いつ”が明確だということは“なにを”もかなり具体的に国際的な提案と議論がなされて参加各国の委員(Codex食品衛生部会)全員の合意を得たということになります。日本の食品衛生法で義務化されているHACCPはCodex最新版に準拠することが求められていますから、それぞれシチュエーションを現場ベースで具体的に説明する必要がありますので次回以降、逐条解説を進めていきましょう。

妥当性確認5文節のイメージを俯瞰しよう

 最後に、ここで5文節の簡単なイメージを俯瞰しておきましょう。第1文節は「妥当性確認」そのものに関する総論で「7原則の適用すべてに“妥当性確認は必須”ですよ、かつ、運用する前にするものですよ」と言っています。第2文節はその7原則の中でも「“コントロール手段”および“CCPの許容限界”は計画策定での確立時そのものですよ」ということです。第3文節は日本の食品衛生法に沿った場合「厚生労働省が示す“HACCP手引書”から許容限界を引用する場合には、現場オペレーションとの整合性(本当に適用可能かどうか)は営業者自身できちんと判断してね」ということ。第4文節は「HACCP運用開始からしばらくは、定めた衛生管理計画で問題なく食品安全の保証を確立できているか、日々の記録や内部監査を通じて証拠の収集を図りなさい」ということ。第5文節は「HACCPは施設オペレーションの変化にフィットして変化し続けなければならないので、変化が認められるときおよび定期的に妥当性確認の見直しをしなさい」ということになります。浮かんだ疑問は次回以降に順次、解決していくので楽しみにお待ちください。

杉浦 嘉彦
 執筆者 

月刊HACCP(株式会社鶏卵肉情報センター)
代表取締役社長
杉浦 嘉彦 氏

【 講師プロフィール 】
株式会社 鶏卵肉情報センター 代表取締役社長(2005年より)
一般社団法人 日本HACCPトレーニングセンター 専務理事(2007~2024年)
国際HACCP同盟認定 トレーナー・オブ・トレーナー
月刊HACCP発行人、特定非営利活動法人 日本食品安全検証機構 常務理事(農場HACCP認証基準 原案策定 作業部会員)、農林水産省フード・コミュニケーション・プロジェクト(FCP)ファシリテータ、東京都および栃木県 食品衛生自主衛生管理認証制度 専門委員会 委員、フードサニテーションパートナー会(FSP会) 理事、日本惣菜協会HACCP認証制度(JmHACCP) 審査委員、日本フードサービス協会 外食産業 JFS-G規格及び手引書 策定検討委員、その他多数

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