INDEX
1.IT導入補助金とは
2.2025年IT導入補助金の概要
3.採択されるためのポイント
4.過去の申請では不正が発覚
5.自社に必要なシステムを検討し、IT導入支援事業者に相談しよう
6.申請スケジュール
7.よくある質問

IT導入補助金とは
IT導入補助金は業務の効率化や生産性の向上を目的として、販売管理ソフトや会計ソフト、文書管理ソフトなどのITツール導入に対して一部が補助される制度です。
ITツールには、パッケージソフトの費用、クラウドサービスの導入・初期費用等が含まれます。また、補助対象費目には、ITツール導入費用、コンサルティング費用等が含まれます。
2025年度(令和7年度)も実施
2025年度版のIT導入補助金は3月31日より申請が開始されました。主な申請枠の初回公募スケジュールは下記となります。
- ■「通常枠」「インボイス枠(インボイス類型)」「セキュリティ対策推進枠」※全て同じスケジュールです。
- 締切日:2025年5月12日(月)17:00(予定)
- 交付決定日:2025年6月18日(水)(予定)
- 事業実施期間:交付決定~2025年12月26日(金)17:00(予定)
- 事業実績報告期限 :2025年12月26日(金)(予定)
2025年 IT導入補助金の概要
事業の目的
IT導入補助金は、通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型、電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数社連携IT導入枠が用意され、それぞれ申請対象となる補助対象経費区分や補助額が異なります。
通常枠
事業のデジタル化を目的としたソフトウェアやシステムの導入を支援します。幅広いITツールの導入を支援し、業務効率化や競争力強化を図ることを目的としています。昨年までは通常枠の補助率は1/2で固定でしたが、2025年より最低賃金近傍の事業者であるとの表明により補助率が2/3にアップしました。補助額は最大450万円までです。
※最低賃金近傍の事業者とは「3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員数が全従業員数の30%以上であることを示した事業者」を指します。
インボイス枠(インボイス対応類型)
インボイス制度に対応した「会計」・「受発注」・「決済」機能を有するソフトウェアなどを導入するための経費の一部を補助します。PC・ハードウェア等の導入も対象です。インボイス対応も見据えた、企業間取引のデジタル化推進を目的としています。補助率は中小企業の場合最大3/4以内、小規模事業者の場合最大4/5以内で、補助額は最大350万円までです。
セキュリティ対策推進枠
中小企業や小規模事業者がサイバーセキュリティ対策を強化するためのITツールを導入する場合に経費の一部を補助します。サイバー攻撃の増加に伴うリスクを低減し、事業継続を支援することを目的としています。「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載のサービスを導入する際、サービス利用料(最大2年分)を補助します。補助率は中小企業の場合1/2以内、小規模事業者の場合2/3以内で、補助額は5万円から150万円までです。
2025年度IT導入補助金の補助額と補助率
赤字が2025年からの拡充点、赤枠がお勧め類型となります。
「複数社連携IT導入類型」も引き続き実施予定となっております。
補助対象者
中小企業および小規模事業者等が対象となります。
みなし大企業やみなし同一法人などに対する申請の制限もありますので、詳しくは公募要領を参照してください。
業種 | 資本金 | 常勤従業員数 |
---|---|---|
製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業 (ソフトウエア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) |
5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業 (自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) |
3億円 | 900人 |
ソフトウエア業又は情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
その他法人として、社会福祉法人や学校法人なども対象となります。
申請対象になるもの
基本的には事業の効率化に寄与するソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費が対象です。
インボイス枠では上記に加え一部のハードウェア購入費が対象となります。
採択されるためのポイント
IT導入補助金では申請の際に4つの審査ポイントがあります。
- 事業面の具体的な審査
- 計画目標値の審査
- 加点項目に係る取組の審査
- 「IT戦略ナビwith」の実施
自社の課題やニーズを分析し、それらを解決するために適切なITツールを選定していることを明確にする必要があります。
また、事務局からは提出資料の不備などによって不採択になっているという情報が公表されています。不備がなければ採択されていたものが書類不備で不採択になってしまうのはもったいないので、提出書類については間違いのないように注意したいところです。
1.事業面の具体的な審査とは
この項目では主に下記の3点の内容について審査されます。
- 自社の経営課題を理解し、経営改善に向けた具体的な問題意識を持っているか
- 自社の状況や課題分析及び将来計画に対し、改善すべきプロセスが導入するITツールの機能により期待される導入効果とマッチしているか
- 内部プロセスの高度化、効率化及びデータ連携による社内横断的なデータ共有、分析等を取り入れ、継続的な生産性向上と事業の成長に取り組んでいるか
要約すると、自社の課題を分析した結果を基に適切なITツールが選択されているかということになります。
きちんと自社の課題を分析することが重要です。
2.計画目標値の審査 とは
通常枠では労働生産性の向上率について審査されます。
労働生産性は従業員1人あたり1時間にどれだけ成果を出しているかという指標です。
IT導入補助金の申請要件に「労働生産性の伸び率の向上について、1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上及びこれらと同等以上の、数値目標を作成すること」とありますので、この要件を満たす目標値を設定する必要があります。
3.加点項目に係る取組の審査とは
この項目では地域貢献や働き方改革の推進、クラウド化やインボイス制度といった国が推進している事業に関連する取組が加点対象となり、採択率の向上が期待できます。
- 地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認取得
- 地域未来牽引企業に選定され、地域未来牽引企業としての「目標」を経産省に提出している
- 導入するITツールにクラウド製品やインボイス制度対応製品を選定していることや、「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を選定している
- 働き方改革に関連する認証を取得している
4.「IT戦略ナビwith」の実施
昨年までは中小企業庁が実施している「みらデジ経営チェック」が要件もしくは加点となっておりましたが、みらデジの事業終了に伴い、新たに「IT戦略ナビwith」が加点ポイントとなりました。
中小機構が実施する無償のサービスとなりますので、申請の際は実施頂くことをお勧め致します。
過去の申請では不正が発覚
2024年にはIT導入補助金の申請における不正も発覚しており、その影響により補助金受給後に義務付けられている事業実績報告の審査も例年より厳しくなりました。事業実績報告の審査は細かいチェックポイントがあるので、申請経験が少ない支援事業者では補助金の支給まで時間がかかる可能性もあります。
2025年度のIT導入補助金では信頼できる支援事業者を選ぶことも重要なポイントの1つといえます。
自社に必要なシステムを検討し、IT導入支援事業者に相談しよう
自社の課題やニーズを分析し、導入したいITツールの機能がわかったとしても自社だけではIT導入補助金は申請できません。
申請にはIT導入支援事業者との共同申請が必要になります。
IT導入支援事業者は具体的にどんなITツールを導入すれば良いのか、申請枠はどれを選択すればいいのかといった相談から、ITツールの導入支援、IT導入補助金の申請サポートまで幅広く支援をしてくれる心強い味方です。
申請サポートの経験が豊富なIT支援事業者であれば、それまでのノウハウによって不採択になる要因をできるだけ除いて申請する手助けをしてくれるはずです。
申請スケジュール
申請スケジュールは随時更新されています。IT導入補助金の最新情報と併せてIT導入補助金公式サイトをご覧ください。
食品業においては、品質管理や生産管理など、業界特有の業務が多数あります。こうした業務へのITツール導入においてもIT導入補助金の活用が可能です。
自社の課題やニーズは明確になってきたものの、何を導入したら良いかわからない、どの申請枠を利用したら良いのかわからないといった場合もお話を伺いながらご提案いたします。
お気軽にご相談ください。
2025 IT導入補助金まるわかりハンドブック
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よくある質問
- Q IT導入支援事業者とは何ですか?
- A 「IT導入支援事業者」はIT導入補助事業を申請者と一緒に実施する共同事業者(パートナー)です。
申請者の生産性向上のため、ITツールの提案や導入、事業計画策定の支援をはじめとした各種申請手続きのサポートをします。 - Q 申請は単独で行えますか?
- A IT導入補助金の申請は登録されたITベンダー(IT導入支援事業者)との共同申請が必要です。
- Q IT導入補助金はいつ入金されますか?
- A 交付決定通知後、IT導入支援事業者にITツールの契約・納品・支払を完了し、事業実績報告の審査が完了すると補助金額が確定し、およそ1ヶ月後に入金されます。
交付決定通知が届く前にITツールの導入等を進めてしまうと、補助金が交付されなくなってしまいますので注意が必要です。