INDEX
1.オムニチャネルとは?
2.オムニチャネルと似た言葉との違い
3.なぜオムニチャネルに取り組む食品業事業者が多いのか
4.食品業界でのオムニチャネル戦略の課題
5.食品業界でのオムニチャネル戦略の解決策
6.オムニチャネル導入のポイント
7.はじめてのオムニチャネル!3STEP!サポートツールをご紹介
オムニチャネルとは?
そもそもチャネルとは、集客するための媒体、販売経路のことです。オムニチャネル(Omni-Channel)とは、企業が複数の販売チャネル(オンライン、店舗、モバイル、電話など)を全て連携させ、顧客に一貫性のあるブランド体験を提供するマーケティング戦略やアプローチのことを指します。
オムニチャネルと似た言葉との違い
オムニチャネル以外に複数のチャネルを活用したマーケティングをあらわす用語が存在しますので、整理しましょう。
1. シングルチャネル (Single-Channel)
シングルチャネル戦略は、1つの主要な販売チャネルに焦点を当てるアプローチです。通常は実店舗またはオンラインストアのいずれかを選択し、そのチャネルを通じて商品やサービスを提供します。
シングルチャネルは比較的簡単で扱いやすく、経営の集中化や効率化が可能ですが、競争力や顧客の多様なニーズへの対応力に制約があるという特徴があります。
2. マルチチャネル (Multi-Channel)
マルチチャネル戦略は、複数の販売チャネルを同時に展開するアプローチです。
例えば、実店舗とオンラインストアを両方活用することがあります。マルチチャネルの特徴は、顧客に選択肢を提供することで、より多くの顧客にアクセスしやすくなることです。ただし、チャネルごとに独立した在庫管理や顧客体験が必要であり、チャネル間の連携や一貫性の確保が課題となることがあります。
3. クロスチャネル (Cross-Channel)
クロスチャネル戦略は、複数のチャネルを連携させ、シームレスな顧客体験を提供するアプローチです。顧客は複数のチャネルを自由に行き来できます。
例えばオンラインで商品を検索し、店舗で購入するといった流れが実現します。クロスチャネルでは、在庫や顧客情報を統合し、チャネル間での情報共有や連携を強化することが重要です。
4. OMO (Online Merges with Offline)
OMOは、オンラインとオフラインの融合を重視する戦略です。オンラインとオフラインのチャネルがシームレスに連携しています。顧客はオフラインとオンラインを意識せず、自由にチャネルを行き来し、オンラインでの購入後に店舗での返品や交換が可能など、継続的なサポートを享受できます。
例えば、アパレルの実店舗で試着した商品を、スマートフォン決済で購入したとします。すると、購入情報が顧客のIDと紐づけられ、おすすめ商品やセールの案内など、今後のマーケティングに活用されます。
なぜオムニチャネルに取り組む食品業事業者が多いのか
近年、オムニチャネルへの関心がとくに高まっています。スマートフォンの利用が生活の一部となった今、消費者の購買行動が大きく変化しました(図1)。チャネル(販売経路)の多様化による、顧客体験やコミュニケーションの変化などが主な要因です。
商品情報の検索はスマートフォンで行い、目当ての商品をいくつか見つけると、次は最寄りの実店舗へ足を運び、実際の商品を自分の目で見て確かめてみます。すぐには購入せずに、またスマートフォンでECサイトを確認し、クーポンが発行されていないか、キャンペーン対象で安く購入できないか確認してから購買を決定するなど、そのような購買行動をとられたことがあるのではないでしょうか。
1. 顧客体験の向上
消費者は実店舗だけでなく複数のチャネルを利用するようになりました。「どのチャネルでどの商品をどのように買うか」といった消費者のニーズが多様化したのです。このようなニーズに応えるためには、それぞれのチャネルをシームレスに繋ぎ、購入したいタイミングで購入ができる仕組み(オムニチャネル)を用意する必要があります。
例えば、モバイルアプリを通じて商品を探し、実店舗で試食や体験を行うなどの組み合わせが可能です。これにより、顧客は自分に最適な購買方法を選択できるだけでなく、一貫性のあるブランド体験を享受することができます。
2. 営業や販売等の機会損失の削減
基本的に、オムニチャネルでは複数のチャネルでの在庫情報を一元管理することを前提としています。消費者がチャネル間を意識せず、実店舗やECサイトなどの在庫情報を常に確認できることで、販売の機会損失を防ぐことができます。
例えば、「店舗では売り切れであったが、ECサイト上や別の店舗では在庫があった」という場合などが、例として挙げられます。
3. データ収集と分析 / 顧客情報データの一元管理
オムニチャネル戦略では、顧客の行動データを複数のチャネルから収集し、一元的に管理することが重要です。顧客の購買履歴や行動パターンを分析することで、個別のニーズや嗜好を把握し、顧客毎により適切な情報やサービスを提供することができます。
食品業界でのオムニチャネル戦略の課題
食品業界は他と比較して最も大きい市場規模(2021年)ではありますが、一方でEC化率は最も低いという調査結果がでています。(参照:経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」/ 図表4-20:物販系分野の BtoC-EC 市場規模 )
この現状をふまえまして、食品業界でオムニチャネルを導入する際、失敗しないためにクリアにすべき課題とはどのような点があるのでしょうか。
1. 鮮度と品質の維持
食品業界では、商品の鮮度と品質が最重要の要素です。オムニチャネルの導入によって、商品を複数のチャネルで提供することになりますが、適切な温度管理や保管方法の確保、品質の一貫性などの課題が生じます。
とくに、オンライン販売においては、商品の配送過程で鮮度や品質が損なわれる可能性があります。このような課題に対応するためには、適切な物流システムやパートナーとの協力が必要です。
2. 複雑な在庫管理
食品業界では、在庫管理がとくに複雑です。商品の賞味期限や保存方法、在庫の回転率などを適切に管理しなければなりません。複数のチャネルでの販売を行う場合、在庫の可視性や需要予測がさらに重要となります。オンラインストアと実店舗の在庫を連携させることで、在庫の最適化と適切な補充を行う必要があります。しかし、複数の在庫管理システムや販売チャネルの統合は困難を伴うことがあります。
3. 消費者の購買行動の多様性
食品の購買において、消費者の購買行動は多様です。一部の消費者はオンラインでの買い物を好み、一部の消費者は店舗での試食や接触を重視します。これに対応するためには、オムニチャネル戦略において多様な接触ポイントを提供する必要がありますが、それぞれのチャネルの特性に合わせた施策や資源が必要です。また、消費者の購買行動が急速に変化するため、戦略の柔軟性と迅速な対応が求められます。
食品業界でのオムニチャネル戦略の解決策
それでは、どうすれば食品業界でオムニチャネル戦略を成功させられるのでしょうか。解決策をみていきましょう。
1. 技術とデジタル化の活用
技術の進歩とデジタル化の進展により、食品業界でもオムニチャネル戦略の実現が容易になっています。
例えば、IoT(Internet of Things)技術を使用して在庫管理や温度管理をリアルタイムでモニタリングすることができます。AIや機械学習を活用して需要予測を行い、適切な在庫を確保することも可能です。また、モバイルアプリやオンラインプラットフォームを活用して、顧客とのコミュニケーションや注文プロセスをスムーズにすることができます。
2. パートナーシップと共同作業
食品業界では、オムニチャネルの導入においてパートナーシップと共同作業が重要です。物流パートナーやオンラインマーケットプレイスなどとの連携を強化し、チャネル間の連携や効率化を図ることができます。また、共同プロモーションやマーケティング活動を行うことで、新たな顧客を獲得し、ビジネスの拡大につなげることができます。
3. 顧客エクスペリエンスの重視
食品業界でも、品質・価格などの「合理的な価値」だけでなく、購入するまでの過程・購入後のフォローアップなどの過程における経験「感情的な価値」が重要な要素です。オムニチャネルの導入においても、顧客のニーズを重視し、一貫したブランド体験を提供することが求められます。店舗での試食や体験イベント、オンラインでのレシピ提案やカスタマイズオプションなど、顧客が楽しみながら食品を選べるような施策を展開しましょう。顧客の声に耳を傾け、改善点を把握しながら、持続的な顧客エンゲージメントを実現します。
オムニチャネル導入のポイント
オムニチャネル導入で得られる効果も大きいですが、導入コストも高額になるため、業務の効率化はもちろんのこと、次にあげるポイントを踏まえて計画的な導入を行うことが重要になります。
顧客のニーズと行動を理解し、提供したい価値や体験を明確にする
オムニチャネル戦略を成功させるためには、顧客のニーズと行動を深く理解することが重要です。顧客がどのようなチャネルを利用し、どのような体験を求めているのかを把握しましょう。顧客調査やデータ分析を通じて、顧客の好みや傾向を把握し、それに基づいて自社でのオムニチャネル戦略を策定しましょう。
社内のシステム導入への意識を統一し、自社に合ったシステムを導入する
システム導入後、どのように使いこなすかは事業者様次第です。社内体制もシステムを導入する目的が明確でなければ、本来、求めている機能はなにか判断がぶれてしまい、結果的に無駄なコストや労力をかけることが発生してしまいます。システム導入は慎重になると思いますので、まずは事業者様に相談・依頼することをおすすめいたします。
これらのポイントを考慮しながら、オムニチャネル戦略を慎重に計画し、段階的に導入することが重要です。また、顧客のフィードバックを収集し、改善を続けることも重要な要素です。
はじめてのオムニチャネル!3STEP!サポートツールをご紹介
オムニチャネルを実現するためには実店舗とオンラインの連携が欠かせないため、在庫の一元管理と物流の最適化から着手していく必要があります。導入システムをクラウド化することで、データの一元管理を有効活用することが可能です。はじめてのオムニチャネル導入として、3STEPに分けてサポートツールをご紹介していきます。
STEP01 : 在庫情報一元管理
クラウドで適正な在庫を把握したい場合、基幹業務システム【スーパーカクテルCore】シリーズがございます。オムニチャネル化に必要なさまざまな外部システムともシームレスに連携します。得意先・納品先毎の出荷履歴を管理しているため、ロット逆転を防止したり、トレーサビリティの実現も可能です。
STEP02 : 消費者の購入実績の管理
クラウドで消費者の購入実績を管理したい場合、クラウド型データ管理POSレジシステム【スマレジ】がございます。クラウド型データ管理POSレジシステム「スマレジ」は従来のPOSレジの機能を凌ぐ機能が備わっています。大切な売上データや顧客情報等はスマレジ端末には保存されません。データはすべて、クラウドサーバーで保存・管理されます。
STEP03 : データドリブン
データドリブンを実現するシステムとして営業支援(SFA)パック【kintone】がございます。データドリブン(Data Driven)とは、KKD(勘、経験、度胸)だけに頼るのではなく、売上データや様々なチャネルを利用して蓄積されたデータの分析結果をもとに、課題解決のための施策の立案やビジネスの意思決定などを行う業務プロセスを指します。同システムでは、顧客情報と関連づけて案件情報や商談履歴などのデータを蓄積したり、案件管理や売上データをもとにした分析も可能です。
【参考】
・経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」