まだ間に合う! 遺伝子組換え食品表示制度の改正ポイント

公開日:2022.8.31
更新日:2023.9.27

施行目前、新表示制度について総ざらい

遺伝子組換え表示制度には、義務表示と任意表示があります。任意表示は2023年の4月1日から新しい制度が施行されます。消費者が正しく理解できる情報発信を目指して、検査で不検出の場合のみ表示ができるようになるなど、任意表示の運用は厳格化されます。概要をご紹介します。

遺伝子組換え食品とは

遺伝子組換え食品とは、別の生物の細胞から取り出した有用な性質を持つ遺伝子を、その性質を持たせたい植物などの細胞の遺伝子に組み込み、新しい性質を持たせる技術を用いて開発された作物、およびこれらを原材料とする加工食品です。

国内で流通している遺伝子組換え作物は、食品衛生法に基づく安全性審査を経ています。また遺伝子組換え表示制度は、食品表示基準、食品表示法に定められています。

これまでの「遺伝子組換えでない」表示

原材料に遺伝子組換え作物を使用していない場合は、遺伝子組換え作物と非遺伝子組換え作物が混ざらないよう、分別管理されてきたことを証明すれば、任意で「遺伝子組換えでない」と表示してよいことになっています。

ただし、厳密に分別管理しようとしても、同じ倉庫やコンベヤ、トラックなどを使用することから、現実には完全な分別が極めて困難です。分別管理が適切に行われ、故意でない5%以下の混入であれば「遺伝子組換えでない」と任意表示できることが認められていました。


遺伝子組換え表示制度 変更点

遺伝子組換え表示制度は、義務表示は現行制度から変更ありませんが、任意表示制度は2023年の4月1日から新しい制度が施行されます。

現行制度では、遺伝子組換えでないものを分別生産流通管理して、意図せざる混入を5%以下に抑えられた大豆、とうもろこし、並びにそれらを原材料とする加工食品において、任意で「遺伝子組換えでない」等の表示をすることができました。

新制度では、任意表示の「遺伝子組換えでない」においても、5%以下であっても遺伝子組換えでないと表示する場合は、不検出でないと「遺伝子組換えでない」等の表示ができません。検査した際に5%以下の数%でも混入がある場合には、遺伝子組換えでないと表示すると消費者を誤認させることになるため、「遺伝子組換えでない」等の表示ができなくなります。施行後は、混入率5%以下できちんと分別されていても、分析をすると検出される場合には、分別生産流通管理といった表示を書くことになります

今まで多くのものに「遺伝子組換えでない」と書いてありましたが、施行後は表示ができなくなり、厳しくなります。消費者庁は、新しい制度では、2つの表現に分けることにより、消費者の誤認防止や消費者の選択の機会拡大に繋がるとしています。

分別生産流通管理

分別生産流通管理の表示は、一括表示事項欄外にわかりやすく文章で書くことも可能です。ただし、遺伝子組換え農産物と非遺伝子組換え農産物を分けて生産、流通及び製造加工の各段階で管理を行っていることが分かるように表示する必要があります。消費者庁の説明会資料では、「大豆は、遺伝子組換えのものと分けて管理したものを使用しています。」 「原材料に使用しているトウモロコシは、遺伝子組換えの混入を防ぐため分別生産流通管理を行っています。」という書き方も例示されていました。

また適切に分別生産流通管理を行っている旨の表示は任意のため、無表示も可能です。遺伝子組換えでないと表示するための条件は厳しくなっています。

以下に消費者庁のパンフレット「新たな任意表示制度に関するQ&A」に書かれている条件を抜粋しました。

遺伝子組換え農産物の混入がないことの確認方法としては、第三者分析機関等による分析のほか、以下を証明する書類等を備えておくことなどが考えられます。

① 生産地で遺伝子組換えの混入がないことを確認した農産物を専用コンテナ等に詰めて輸送し、製造者の下で初めて開封していること
② 国産品又は遺伝子組換え農産物の非商業栽培国で栽培されたものであり、生産、流通過程 で、遺伝子組換え農産物の栽培国からの輸入品と混ざらないことを確認していること
③ 生産、流通過程で、各事業者において遺伝子組 換え農産物が含まれていないことが証明されて おり、その旨が記載された分別生産流通管理証 明書を用いて取引を行っている場合

 なお、行政の行う科学的検証及び社会的検証の結果において、原材料に遺伝子組換え農産物が含まれていることが確認された場合には、不適正な表示となります。

(引用元)知っていますか?遺伝子組換え表示制度

分析された際に混入の可能性を完全に否定できない場合は、分別生産流通管理と施行後は表示されることもありえるでしょう。

遺伝子組換えでないと表示できるもの

まずは遺伝子組換え農産物が混入しないように、適切に分別生産流通管理が行われているか確認することが前提です。例えばラインコンタミが起こりえないぐらいに管理された場合は、分析されても出てこないため、遺伝子組換えでないとか、非遺伝子組換えといった表示が可能となります。

例えば、工場ではその製品しか製造していない、原材料も国産のものをパックして搬入するため、どうしても混入しようがない。そういう場合は遺伝子組換えでないと表示できるでしょう。

特定の流通で特定の産地のものだけを原材料にしているようなケースでないと、「遺伝子組換えではない」表示ができなくなってきている。そういったことに、今現在変わりつつあります。

遺伝子組換え不分別の対象

遺伝子組換え農産物と非遺伝子組換え農産物を分けずに管理した原材料を使用している場合や、意図せざる遺伝子組換え農産物の一定の混入を超えている場合には、適切な分別生産 流通管理がなされたとはいえず、「遺伝子組換え不分別」である旨の表示が必要です。

意図せざる「一定の混入」とは、大豆及びとうもろこしについて、混入率5%とされています。


施行までに食品表示基準対応のご準備を

施行の2023年4月1日まで約半年となりました。食品事業者様においては、前倒しで切り替えを進められていることと存じますが、未対応の事業者様におかれましては、消費者へ正確な情報を提供するためにも、早めの表示切り替えが推奨されます。

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