食品業での在庫管理の重要性とポイント

公開日:2024.1.12
更新日:2024.1.12

食品業に必要な在庫管理のポイントと
システムに必要な機能とは

食品業における在庫管理は、賞味期限管理やロット管理など、業界特有の商習慣など注意すべき点が多くあります。また、製造・取り扱い製品によっては季節ごとに需要が大きく変化し、在庫変動が大きいために廃棄ロスによる損失リスクも高くなります。
今回は、食品業界が抱えがちな在庫管理の課題を整理し、それらを解決するためのシステムに必要な機能面について考察します。

食品業界における在庫管理の大切さ

在庫品を抱えるビジネスを行う上で、在庫管理が重要なのはご承知のとおりかと思います。過剰な在庫は保管コストが増加し、不足すると機会損失や顧客からの信頼失墜につながります。
食品業においては賞味期限や製品の保管方法にも気を配る必要があります。賞味期限が切れた製品や適切に保管されずに品質劣化を招いてしまった製品はそのまま廃棄となって損失となるため、これを防ぐためにもしっかりと管理していく必要があるでしょう。
このように、食品業界は賞味期限の概念が薄い製品を取り扱う業界と比べて在庫管理の重要性が高い業界といえます。

食品業界での在庫管理の課題

食品製造業や卸売業には取り扱い製品の需要が季節によって大きく変化するという特徴があります。需要が変わるタイミングで在庫過多になってしまうと廃棄せざるを得なくなることもあるため在庫数の把握と販売計画が重要です。
また、賞味期限やロット別での管理、預け・預かり在庫、不定貫製品の管理など、食品業特有の在庫管理が必要になります。
ここでは、それらの中でも代表的な課題を挙げます。

1.賞味期限・ロット管理
2.製品特性に合わせた保管
3.廃棄ロス
4.在庫不足による機会損失

賞味期限・ロット管理

食品には賞味期限や製造ロットがあります。賞味期限が切れた製品を納品することや、前回納品したロットよりも古い製品を納品してしまうロット逆転が起きた場合、取引先からの信用が失墜し、取引停止にもなりかねません。
同じ製品であっても、賞味期限・ロット別での管理が必要となります。

製品特性に合わせた保管

保管については常温、冷蔵、冷凍など、製品特性に応じた保管が必要となります。
適切な保管がされないと品質が劣化し、事故の発生による回収が必要になる危険性が高まります。

廃棄ロス

在庫を廃棄する際には、仕入や在庫管理にかかったコストも無駄になります。また、廃棄するためにもコストがかかり損失も大きくなるため、在庫切れを起こさずに廃棄ロスを最小限に抑えることが重要です。
また、日本での廃棄による食品ロス(フードロス)は令和3年度で523万トンであり、そのうち事業系が279万トンとなっています。
食品ロスを削減するために令和元年に食品ロス削減推進法が施行されており、その取り組みとして納品期限の緩和や賞味期限の年月表示化による対策も促進されてきています。

食品ロス量の推移

参考:農林水産省「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢」

参考:消費者庁「食品ロスの削減の推進に関する法律」

在庫不足による機会損失

在庫切れが発生することで、本来得られていたはずの利益が販売機会を逃したことによる機会損失が発生します。
さらに、在庫切れは顧客からの信頼が失われることにもつながります。
しかし、あまり多く在庫を確保すると、今度は廃棄ロスにもつながるため注意しなければなりません。
普段の在庫管理と需要の予測をしていくことが、機械損失の発生を抑えるために必要です。

適切な在庫管理を行うにはシステムの活用を!

在庫の管理をするためには、システムを活用することをお勧めします。エクセル等の表計算ソフトは安価で手軽に利用できますが、これまでに挙げた賞味期限・ロット別での管理や、入荷予定や出荷予定を加味した管理、さらには多品種化による取り扱い製品の増加なども踏まえた管理をするのは困難かつ煩雑になってしまいます。
受発注や売上を管理するための販売管理システムには在庫管理機能を搭載しているものもあるため、システム選定の際には自社の在庫管理に必要な機能が含まれているかも確認しましょう。

食品業で在庫管理をシステム化するメリット

在庫管理のシステム化は、多くのメリットがあります。廃棄ロスを減少させ、顧客からの預かり在庫の管理、適正在庫の把握や販売計画のための基礎データ蓄積など、コスト削減と競争力の向上を実現します。ここでは、食品業で在庫管理をシステム化するメリットについて解説します。

1.廃棄ロス(食品ロス)の防止
2.機会損失の防止
3.食品安全性の確保、流通経路の可視化
4.業務効率の向上

廃棄ロス(食品ロス)の防止

在庫状況をリアルタイムで確認でき、賞味期限・ロット別での管理も可能となることで過剰在庫や賞味期限切れでの廃棄を防止することができます。

機会損失の防止

現在の在庫状況に加え、入荷・出荷予定を把握することで在庫不足を防止し、在庫不足による販売機会の損失を回避できるようになります。在庫不足は取引先からの信頼を失うことにもつながるため、適切な在庫を保持することが重要です。

品質・食品安全性の確保、流通経路の可視化

適切な賞味期限管理・ロット管理を行うことで、品質を保った製品を提供することが可能です。万が一トラブルが起きた際にも、トレーサビリティによるトレース機能があれば原因究明や要回収製品の特定が容易になり、早期の事態収拾を図ることができるようになります。

食品業界向けシステムの在庫管理機能に求められるポイント

在庫管理をシステム化するにあたっては、食品業で求められる業務や管理方法に対応していることが必要になります。
食品業の在庫管理に求められる代表的な機能をいくつかご紹介します。

1.トレーサビリティ・賞味期限を管理する機能
2.入出庫を管理する機能
3.適正在庫を管理する機能

トレーサビリティ・賞味期限を管理する機能

製品がいつ、どこで誰が作り、どこに出荷されたのかを原材料の状態から追跡することをトレーサビリティといいます。食品に対する消費者の要求水準が高まり、生産から流通までの履歴が明らかにできる仕組み作りが必要になっています。
賞味期限管理についても外せない機能です。ロット管理とあわせて主に必要になる機能を紹介します。


賞味期限管理

賞味期限が切れた製品は廃棄するほかないため、賞味期限切れになる前に販売・出荷しなければなりません。また、前回納品した製品よりも賞味期限が前のものを納品してしまうと取引停止を招くことにもなりかねないため、前回出荷時の賞味期限よりも古いものを出荷しないためのアラート機能などを備えているかを確認しましょう。

ロット別管理

同じ製品であっても製造ロットごとに投入した原材料の生産地などが異なることもあります。
また、製品に何かしらの不具合が生じた場合でも、該当するロットの製品についての出荷先や在庫状況の確認が容易となり、素早い対処が可能になります。

ロケーション管理

同一製品を複数の倉庫や拠点で管理している場合、どのロット、賞味期限の製品がどこにいくつあるのかを可視化することで、無駄のない在庫管理ができます。また、システム上で倉庫間の在庫移動が可能であれば、正しい在庫数の把握にも役立ちます。

入出庫を管理する機能

倉庫では、製品や原材料の入庫や出庫によって日々在庫が変動します。入出庫管理が上手くいっていないと、現在庫と理論在庫に差異が生じて欠品や過剰在庫につながります。
また、入出庫による検品を手作業で実施することはミスの原因にもなり、正確な在庫数が把握できない要因にもなります。
現在の在庫状況を正確かつ効率的に管理するためにはシステム化が有効です。


引当管理

引当管理機能は受注済で出荷待ちの在庫を確保しておく機能です。在庫を確保しておくことで、出荷時に欠品することを防ぎます。
また、引当済の在庫を加味した在庫数を把握することで、生産計画の基礎データとしても利用可能になります。

預け・預かり在庫の管理

預け在庫は仕入先に発注した製品を預かっていてもらうこと、預かり在庫は得意先から受注済の製品を預かることです。預け在庫については、仕入先を営業倉庫のようにして在庫を管理します。
預かり在庫は受注した製品を出荷せずに保管しておき、得意先からの連絡を受けてから納品先に出荷する管理が必要になります。

ハンディターミナルとの連携

製品や原材料の入庫、販売や製造による製品・原材料を出庫する際の検品はハンディターミナルとバーコードで管理することで管理レベル・効率が大幅に向上します。入出庫だけでなく、棚卸においても作業効率化に大きな効果を発揮するでしょう。
ハンディターミナルとの連携は手作業の削減による作業時間短縮、ミスの軽減、システム連携によるリアルタイムでの在庫データ更新などの効果が見込めます。

カスタマイズが可能な柔軟性

食品業向けに開発されたパッケージソフトは、食品業界に必要な機能が標準で搭載されており、自社に合わせて一から開発するよりも導入コストが安く済みます。しかし、自社の業務に合わない機能がある場合や、追加で機能が必要な場合は柔軟にカスタマイズができるシステムを選択しましょう。
カスタマイズをすることで、コストを抑えつつ使いやすいシステムの導入が可能です。

他システムと連携できるか

在庫管理をシステム化するにあたっては、他システムとの連携も必要になります。例として、生産管理システムと連携することで、原材料の使用による出庫、製造した製品の入庫は個別で管理すると差異が生じたりリアルタイムな判断ができなくなります。
システム連携していれば在庫の現状と今後の見通しが把握でき、在庫の適正化が図れます。また、販売データから需要予測を立てることで生産計画にも生かすことも可能です。

まとめ

食品業における在庫管理は、業界特有の課題がみられます。賞味期限管理やトレーサビリティ、フードロスへの対策、在庫品の保管方法、仕入先・得意先への対応などです。
エクセルや帳簿での管理では作業時間がかかって効率が悪くなるだけでなく、人的ミスの発生を招きます。
在庫管理をシステム化することによって、作業時間の効率化、ミスの軽減、リアルタイムでの在庫状況の把握が実現します。適切な在庫管理が実現できると、販売・生産計画やマーケティングの基礎データとしても活用できるようになります。
様々な課題がある在庫管理ですが、どうしたら効率化できるかお困りの場合は、システム導入を検討してみてはいかがでしょうか。自社に合った機能を持つシステム導入は大きな効果を得られるでしょう。

食品業の販売管理ソリューション

賞味期限やロットの概念がある食品業の在庫管理は複雑です。さらには出荷予定や製造予定も考慮した管理が必要となるため、販売管理、生産管理との連携が重要になってきます。
スムーズな在庫管理をするためのシステム導入においては、販売管理、生産管理も行えるシステムがお勧めです。
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※出典:ITR「ITR MARTKET VIEW:ERP市場2022」ERP市場-食品:ベンダー別売上金額シェア(2015-2022年度予測)
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