HACCP

是正措置4要求事項を記録できるだけのシステム化、およびデータ分析に基づく見直し(Codex 19.10);HACCP 2022最新版に準拠!!

是正措置4要求事項を記録できるだけのシステム化、およびデータ分析に基づく見直し(Codex 19.10);HACCP 2022最新版に準拠!!

はじめに

 HACCP12手順の10手順目、HACCP7原則「適用」の第5原則目である「是正措置の確立」のCodex「食品衛生の一般原則(CXC-1)」(General Principle of Food Hygiene;GPFH)最新2022年版逐条解説もついに最後の第4段落目となりました。

 初読の皆さまは必ず前段の第1段落目(たとえば、是正措置対象ロットの識別)から、第2段落目(逸脱ロットの応急の是正処置)、そして前回(原因と再発を見据えた改善措置)とご一読いただいてから目をお通しください。

 食品安全分野におけるCL(Corrective Action;是正措置)には、是正と改善、処置と措置のマトリクス(複数行列の判断枠組み)があることを、ここまでに、ご理解いただけたでしょうか。訳語として、厚生省令用語の「改善措置」を使用しても、ISO22000用語の「是正処置」を使用したとしても、考え方はCodexベースの“Corrective Action” (是正措置)であることを忘れずに立ち戻っていただくことが、つまらない混乱を避ける、もっとも賢いやりかたです。

是正措置記録は要求事項欄をあらかじめ用意しておく

 是正措置記録は、2020年版で要求事項が具体的に示される以前は、一般的な処置を記載してしまえば済む簡易フォーム(書式)が目立っていました。これが現在のCodex(すなわち、現在の食品衛生法HACCPやISO22000要求事項)では、Codexの各要求事項まで記録に残すことが求められます。

 この要求事項とは、要するに前段(第1~3段落)までに詳述した是正措置の諸要件であり、第1段落目ではトレース可能な「ロットの識別」記録、第2段落目では逸脱ロット製品の「隔離」および(適用可能な場合)「安全性分析」記録、そして前回の「原因分析」および「再発防止策」まで、最低限の国際的推奨事項として、ここまでの記録システムは要求されるという意味です。

 国内規制ではそこまでCodexに厳格適用していないという意見もありますが、たとえば対米輸出ではすでに、FSMA(食品安全現代化法)に基づく予防コントロール規制の適用において、やはり是正措置の諸要求事項を「是正」だけでなく「改善」まで、「処置」だけでなく「措置」まで、記録に求めるCodexベースの「是正措置」が法的要求事項化されており、日本も遠くない将来同じ状況となります。

 米国の有資格者(たとえば食品安全ならばPCQI)研修で学ぶ書式は、上述したとおりFDA査察官も、民間認証でも納得を共有しやすい、調和共有可能な書式提案があり参考になります。

逸脱のデータ分析は宝物庫

 記録システムの精度次第ではあるものの、上述した「ロットの識別」記録に、系統的に紐づくように「隔離」および(適用可能な場合)「安全性分析」、そして「原因分析」および「再発防止策」まで、是正措置記録の書式(フォーム)上に明記されているならば、この生きたデータは皆さまの事業を持続可能で、かつ安定的なリスク管理された、クライシス回避に長けた、組織力の基盤を固めるのに大きく役立つでしょう。

 取り扱う原材料および製品、またプロセスなどの特性から、通年して是正措置に至る“逸脱”が、ほぼ発生し得ないような現場はともかくとして、たとえ逸脱の頻度が年1回だったとしても、その1回だけの逸脱から得られる情報は宝箱のように貴重なリスク情報をはらんでいます。

 逸脱が頻繁に繰り返される場合、(これは逸脱が皆無の場合と同様にHACCPルールが遵守されない文化的要因にもよりがちですが)そもそも設定した“許容限界の確立”が、あなたの施設で取扱われる製品にとって科学的に妥当(第38回の原則編で解説、第71回に適用編でもう少し踏み込んで詳説)であったかどうか問い直す最適な機会になるかもしれません。また、施設によってたびたびケイパビリティ(ヒトとか機械のオペレーション許容能力)を超過して受注してしまうような、オペレーションの変動を示唆している場合も考えられます。たとえば、特に時間/温度コントロールでは第20回にある「冷却」ステップでは危険温度帯10~60℃を2時間以上という基準について、これをCCP許容限界で考えるには、最終喫食までの「累積曝露時間」を考慮すべきなのですが、実は冷却機の許容能力とは別に、加熱後製品の滞留が度重なる逸脱の原因だったりすることもよくあります。傾向を特定し、再発防止策としてオペレーションの見直しやオペレーション従事者の再トレーニングにつなげれば、精度の高いCCPが確立されて結果として効率性が向上されロスも低減できて、あなたの施設を「もうかる工場」に大化けさせる潜在性があるかもしれません。

是正措置も“定期的”な見直しを

 HACCPシステム全体に関わることではありますが、やはり原則5の「是正措置の適用」も、定期的な見直しの対象となります。上述したようにCCPおよびその許容限界とリンクして、是正措置は定期的に見直される必要性があります。

 見直しの頻度は最低でも年1回とされていて、Codexに紐づいて日本国内のHACCP法制化でもこれに準じています。若干加えるべき情報としては、この“定期的”(periodic)の語には、第46回を読み返していただきたいところですが“適宜”の意も実は踏まえているというところで現場変化に応じてカスタマイズし直す現場とのフィット感を大切にしてください。

杉浦 嘉彦
 執筆者 

月刊HACCP(株式会社鶏卵肉情報センター)
代表取締役社長
杉浦 嘉彦 氏

【 講師プロフィール 】
株式会社 鶏卵肉情報センター 代表取締役社長(2005年より)
一般社団法人 日本HACCPトレーニングセンター 専務理事(2007~2024年)
国際HACCP同盟認定 トレーナー・オブ・トレーナー
月刊HACCP発行人、特定非営利活動法人 日本食品安全検証機構 常務理事(農場HACCP認証基準 原案策定 作業部会員)、農林水産省フード・コミュニケーション・プロジェクト(FCP)ファシリテータ、東京都および栃木県 食品衛生自主衛生管理認証制度 専門委員会 委員、フードサニテーションパートナー会(FSP会) 理事、日本惣菜協会HACCP認証制度(JmHACCP) 審査委員、日本フードサービス協会 外食産業 JFS-G規格及び手引書 策定検討委員、その他多数

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監修 一般社団法人日本HACCPトレーニングセンター
編集 株式会社鶏卵肉情報センター 月刊HACCP編集部

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翻訳・編集:株式会社鶏卵肉情報センター 月刊HACCP編集部

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