INDEX
1.ERPとは?
2.食品業のERP導入メリットとは
3.クラウドERPとオンプレミスERPとの違いとは
4.クラウドERPのメリット/デメリット
5.クラウドERPの種類と選び方
6.食品業でクラウドERPの導入を成功させるには
7.関連情報
ERPとは?
ERP(Enterprise Resource Planning)は企業資源計画の略で、企業の業務プロセスを統合的に管理するシステムのことを指します。
ERPシステムは財務管理、人事管理、販売管理、製造管理など、さまざまな部門のデータを統合して一元管理することにより、業務効率を向上させ、意思決定の迅速化を図ります。また、データの一貫性が保たれるため、情報の重複や誤りが減少し、企業全体のパフォーマンスを最適化することが可能です。
このようにERPは企業の成長を支える重要なツールです。
食品業のERP導入メリットとは
消費者ニーズの把握
消費者の嗜好や購買行動が日々変化する食品業界では、多品種小ロット化が進み、生産管理や在庫管理が煩雑化してきています。変化に迅速に対応し、適切に管理を行うためにERPシステムは必須です。
販売データから消費者ニーズを掴むことができれば、生産計画と在庫管理を適正化でき、廃棄ロス削減にもつながります。
適切な在庫量を維持し、需要に応じた生産を行うことで無駄を最小限に抑え、効率的な運営を実現することができます。
適正利益の確保
食品業界は原材料費や物流費の高騰といった厳しい状況に直面しており、コストを適切に管理し利益を確保することが求められます。
ERPシステムは、在庫管理、需要予測、生産管理、販売管理など、多角的に対応が可能です。
効率的なコスト管理、また収益性を維持して競争力を強化することができます。
クラウドERPとオンプレミスERPの違いとは
クラウドERPはインターネットを通じて提供され、専用サーバーやデータセンターを持つ必要がありません。これに対し、オンプレミスERPは企業内のサーバーにインストールされ、自社で管理します。それぞれにメリット・デメリットがあります。違いについては以下の通りです。
クラウドERPの特徴
クラウドERPは、初期導入コストが低く、拡張性が高いという特徴があります。インターネットを介してアクセス可能なため、場所を問わず業務を行うことができ、リモートワークにも適しています。
また、法令対応やバージョンアップが自動で行われるため、システム管理の負担が軽減されます。導入のスピードも速く、企業の規模に応じた柔軟な対応が可能です。
ただし、インターネット環境に依存するため、常時安定した接続が必要です。
オンプレミスERPの特徴
オンプレミスERPの特徴として、企業のニーズに合わせた高度なカスタマイズが可能であることが挙げられます。
自社のサーバーにインストールするため、データの管理とセキュリティを完全に自社でコントロールすることができ、特定の業務フローにもフィットするシステムの構築が可能です。
ただし、初期投資が高額であり、サーバーやシステムの維持・運用にも多大なコストと労力が必要です。法令対応やバージョンアップも自社で行う必要があり、そのための専門知識と人材確保が求められます。
クラウドERPのメリット
企業に多くのメリットを提供するクラウドERPは、デジタル化を推進する企業にとって非常に魅力的な選択肢です。近年は、労働生産性の向上や付加価値の創造を目的に、食品業界でもデジタル化が進んでいます。
以下が、クラウドERPの具体的なメリットです。
場所を問わず利用可能
クラウドERPはインターネットを介して提供されるため、どこからでもアクセス可能です。これにより、リモートワークや海外拠点からの利用が容易になり、グローバルなビジネス展開がサポートされます。常に最新のデータにアクセスできるため、迅速な意思決定が可能です。
また、モバイルデバイスからも利用できるため、外出先でも業務をスムーズに行えます。
BCP対策につながる
クラウドERPのデータはクラウド上に安全に保存され、定期的にバックアップが行われるため、災害やシステム障害時でもデータの復元が容易です。
万が一の際にも迅速にビジネスを再開できる体制を整えることができるため、事業継続計画(BCP)の一環としてクラウドERPを導入し、リスク管理を強化する企業も増えています。
クラウドERPのデメリット
クラウドERPは多くの利点を持つ一方で、いくつかのデメリットも存在します。デメリットについても十分に理解した上で、企業のニーズに最適なソリューションを選定するための検討材料とすることが重要です。
オンプレミス版に比べカスタマイズ性は低い
クラウドERPは標準化されたサービスとして提供されるため、オンプレミス版に比べてカスタマイズできる部分が少なく、特定の業務プロセスに合わせた細かな調整や高度なカスタマイズが必要な場合は、クラウドERPでは対応が難しくなることがあります。
特に、業務フローが独自性の高い企業にとっては、カスタマイズの制約がデメリットとなる可能性があります。
インターネット環境が必要
クラウドERPはインターネットを介して利用するため、常時安定したインターネット接続が必要です。
インターネット環境が不安定な場所やネットワークトラブルが頻発する環境では、クラウドERPの利用が困難となることがあります。
また、セキュリティ面でもインターネットを介したアクセスはリスクが伴うため、適切な対策が求められます。クラウドERPは常時ネットワークに繋がっており、外部からの侵入やサイバー攻撃に対して脆弱な一面があるためです。国内食品業大手企業でも、ランサムウェア被害に遭い基幹業務がストップしてしまった事例があります。
ネットワークの信頼性やセキュリティの確保はクラウドERP導入の鍵となります。
クラウドERPの種類と選び方
クラウドERPには主に3つのタイプがあります。それぞれの特長を理解し、企業のニーズに最適なタイプを選択することが重要です。
プライベートタイプ
プライベートクラウドERPは、企業・組織が自社専用のクラウド環境を構築し、社内やグループ会社のみの環境で提供される形態です。これにより、高度なカスタマイズが可能であり、特定の業務プロセスに合わせた設定が行えます。
また、セキュリティ対策も企業の要件に応じて強化できるため、データの保護が求められる業界に適しています。ただし、専用環境の構築・運用にはコストがかかるため、初期投資や運用コストを考慮する必要があります。
パブリックタイプ
パブリッククラウドERPは、企業もしくは個人など、不特定多数でオープンなクラウド環境で提供される形態です。初期導入コストや運用コストが低く、スピーディーに導入できるのが特長です。また、標準化されたプロセスに基づいて提供されるため、迅速に業務をスタートさせることができます。
ただし、共通のプラットフォームを使用するため、カスタマイズの自由度は限られています。
ハイブリッドタイプ
ハイブリッドクラウドERPは、プライベートクラウドとパブリッククラウドの利点を組み合わせる形態です。企業の重要なデータや業務に応じて、クラウド環境を柔軟に選択・構成できるため、コスト効率とセキュリティをバランスよく実現できます。
例えば、機密性の高いデータはプライベートクラウドで管理し、一般的な業務はパブリッククラウドで行うといった運用が可能です。
クラウドERPの選定ポイント3つ
クラウドERPは数々のメリットを持ち、適切な選択をすることで企業の業務効率の最大化、コストとリスクの最小化につながります。
以下、選定のポイントについてまとめました。
機能
企業の業務プロセスにどれだけ適応するかは重要なポイントです。特定の業務に必要な機能があらかじめ備わっているか、システムが将来的な業務変化にどれだけ対応できるかを確認しましょう。
適応性
業界特有の要件に対応できるか、現行システムとの連携がスムーズに行えるかなどが適応性の観点で重要になります。将来的な拡張性も考慮して選定しましょう。
カスタマイズ性
標準化されたクラウドERPでも、ある程度のカスタマイズが可能かどうかがポイントです。特に独自の業務プロセスを持つ企業にとっては、カスタマイズ性が高いことが重要です。
特定の機能追加が可能かどうかを確認しましょう。
費用
クラウドERPの導入・運用にかかるコストは、企業にとって大きな考慮ポイントです。初期導入費用だけでなく、運用コストやメンテナンス費用も含めたトータルコストを考える必要があります。
導入にかかるコスト
クラウドERPの初期導入にかかるコストは、オンプレミスERPに比べて低いことが多いですが、それでも設計費や設定費、導入サポート費用が発生します。
導入期間もコストに影響するため、計画的に進めることが重要です。
運用にかかるコスト
クラウドERPの運用コストには、ライセンス費、サーバー費用、メンテナンス費などが含まれます。
また、バージョンアップや法令対応の費用も発生するため、これらの費用をトータルで評価することが必要です。
セキュリティ
クラウドERPのセキュリティ対策が十分であるかを確認することは、企業データを保護する上で重要です。
セキュリティの対策レベル
クラウドERPが備えているセキュリティ対策のレベルを確認する必要があります。
データ暗号化やアクセス制御、定期的なセキュリティテストの有無などがポイントとして挙げられます。
特に機密性の高いデータを扱う場合、セキュリティの高度な対策が求められます。
ベンダーの信頼性
クラウドERPを提供するベンダーの信頼性も重要です。
クラウドサービスは買い切り型のサービスではないため、ベンダーとは長期的な付き合いになります。過去の実績や他社での導入例、サポート体制の評価などを確認し、信頼できるベンダーかどうかを見極めることが必要です。
食品業でクラウドERPの導入を成功させるには
クラウドERPのメリットを最大限に引き出すために、適切なステップを踏んでシステムを導入し、定着を目指しましょう。最初から全ての業務を一括で移行するのではなく、スモールスタートからはじめることもひとつの方法です。
初期段階では、限定的な範囲や部門で試験的に導入することで運用上の問題点や課題を洗い出し、その後、段階的に導入することで全社的な展開へとスムーズに移行ができるほか、社員への教育・トレーニングも効率的に行えます。
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