食品表示のデジタル化とは?消費者庁の動きと食品事業者ができること

公開日:2026.03.23
更新日:2026.03.24

食品表示のデジタル化を解説

食品表示をめぐる環境は、制度改正や消費者ニーズの多様化により急速に複雑化しています。消費者庁は食品表示のデジタルツール活用に向けた報告書を取りまとめ、今後はガイドライン作成と実証方法の検討、段階的な検証へ進むという方向性が示されています。概要をまとめました。

食品表示のデジタル化とは?

 食品表示のデジタル化とは、パッケージ上の表示項目の一部をデジタル情報で補完し、消費者が二次元コード(QR等)+スマートフォンで、食品情報に容易にアクセスできるようにする仕組みです。

 ただし、すべてをデジタルに置き換えるわけではなく、安全に直結する基礎情報(例:食品名、アレルゲン、期限表示 等)は容器包装上に残すべきと整理されています。これは、国際的なルール(Codex)とも同じ考え方です。

▼これまでの消費者庁の動き▼

時期 制度化に向けたこれまでの消費者庁の動き
2024年10月〜2025年11月 消費者庁は「食品表示へのデジタルツール活用検討分科会」を開催(計7回)。技術的論点(制度運用の水準、データ管理方式、アクセス手段、広告との棲み分け、修正履歴の保全など)を集中的に整理。
2026年度~ 事業者が参照できる詳細ガイドラインの作成と検証(実証)に着手する見込み。具体設計(1対1対応方式、広告の扱い、修正履歴の示し方等)が示される想定。

制度化の背景

 制度化が検討される背景としては、以下のような理由が挙げられます。

国際的潮流への対応

 世界の主要国で、食品情報のデジタル化は加速しています。食品表示へのデジタルツール活用検討分科会」では、国際的なガイドライン(Codex)の動向を踏まえて取りまとめを行っており、今回の制度化は、国際ルールに合わせながら日本版の仕組みを設計していくプロセスであるといえます。

更新コストと在庫負担

 もう一つの要因は、食品表示の更新コストと在庫リスクです。原材料産地の変更、アレルゲンの追加、法令改正、栄養基準値の見直しなど、食品表示はここ数年で更新頻度が増えています。従来のように「包材を刷り直す」運用では、印刷費、デザイン修正・校正工程への負担、誤表記リスクといった問題につながりやすく、企業側の負担が増えてしまいます。

 こうした背景から、消費者庁の検討でも、デジタル側で即時に情報を更新できる仕組みの重要性が指摘されてきました。加えて、義務表示項目が増えラベルが読みづらくなる問題への対策としても、詳細情報をデジタル側に移す仕組みは有効です。

事業者が得られるメリット

 食品表示のデジタル化が進むことで、食品事業者は以下のようなメリットが期待できます。

包材・在庫リスクの低減


 食品表示のデジタル化が進めば、二次元コードの先にあるデジタルデータを更新することで、表示内容を切り替えられるようになります。原材料の微修正や原産地の変更があった場合でも、包材を刷り直す必要がなくなるため、印刷済み在庫の廃棄リスクを抑えることができます。

 包材は固定、情報はデジタルで柔軟に更新、という運用にシフトできれば、事業者にとって負担軽減につながるでしょう。

情報更新の即時対応


 デジタル表示のもう一つの強みは、情報更新を反映しやすい点です。

 従来は、包材印刷のリードタイムがネックになっていましたが、デジタル表示であれば、印刷工程を待たず情報をアップデートすることが可能となるでしょう。

消費者エンゲージメントの向上


 デジタル表示は単に義務項目を置き換えるだけではありません。パッケージに乗り切らなかった、生産者のこだわり、サステナビリティへの取り組み、多言語対応の情報といった付加価値情報を提供しやすくなることも期待されています。

 消費者に安心感を与えるとともに、選ばれる理由づくりにつながるエンゲージメント強化策としても活用ができるでしょう。

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今後の消費者庁の動き

 今後は、国際的なガイドラインや制度を踏まえ、「容器包装に必ず残す情報」と「デジタルに移せる情報」の整理が食品表示懇談会で進められます。食品名、アレルゲン、期限表示など消費者の安全に直結する基礎情報はパッケージ上に残すことが国際基準では求められています。デジタル化の対象となるのは、詳細情報や付加情報などが中心となる可能性が高いといえます。

 また、実務運用を支えるため、消費者庁は事業者向けガイドラインの整備を進めています。パッケージ表示との対応方法、デジタルで保管できるデータ項目、広告を扱う際の留意点など、現場が判断しやすくなる具体的な基準を示す予定です。

食品事業者が今から準備できること

食品情報データの整備と一元的な管理体制の構築

 デジタル化が進むと、原材料、アレルゲン、栄養成分、期限情報などの食品情報を正確かつ最新に保つデータ基盤が重要になります。

 分科会では、現行の事業者システムとの整合性や構築コストを踏まえ、現時点では「分散管理方式」が運用上妥当であると整理されています。項目マスタの整備やデータ形式の標準化が事前準備として効果的です。

分散管理方式とは

食品表示における「分散管理方式」とは、メーカー、流通業者などの食品関連事業者が、製品の表示データ(原材料、栄養成分、アレルゲンなど)を、国などが管理する単一のデータベースではなく、事業者自らのデータベースやシステム上の任意の場所に保管・管理する手法のことです。一元管理方式と対比して検討されている管理モデルです。

表示作成・更新フローの可視化

 表示情報に関わる「作成・更新」の流れを明確にし、社内で統一したルールを作成すると、制度の対応もスムーズになるでしょう。

 分科会では特に、情報の修正履歴の保全や運用ルールの整備が必要なポイントとして挙げられており、制度化後も必要な要件となることが想定されます。

事業者ができること

  • 表示情報の承認経路の明確化
  • バージョン管理や履歴管理の運用ルール化
  • 作成した表示情報の保管場所の一本化

サプライチェーン全体での情報共有ルールの確認

 将来的な食品表示のデジタル化を見据え、原材料情報・ロット・産地などのトレーサビリティ確認に加え、関連する情報連携をあらかじめ整理しておくことも有効です。

 現時点で取り組める内容としては、右記の点が挙げられます。

事業者ができること

  • 規格書の収集・更新頻度の見直し
  • トレーサビリティの再点検
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まとめ

 食品表示のデジタル化は、国内外の制度動向や消費者ニーズの変化、そして企業の表示業務における負担を背景に、検証が進んでいます。直ちに表示がデジタル化されるわけではありませんが、今のうちから自社の業務プロセスやデータ管理体制を整えておくことが望ましいといえるでしょう。業務効率化と品質向上の両立を実現するために、管理体制を見直していきましょう。

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