ISDN回線の廃止
2017年4月にNTT東日本/西日本は、INSネットデジタル通信モードのサービスを終了すると発表しました。これはISDN回線を使ったサービスが利用できなくなることを意味します。ISDN回線はPOS(販売時点情報管理)やEDI(企業間電子データ交換)システムなどで通信に広く利用されていることから、企業の決済・受発注業務への大きな影響が予想されています。移行は2024年1月から順次開始し、2025年1月に完全移行する予定とされています。
【ISDN回線とは】
電話線を使用したデジタル回線のインターネット通信技術です。
従来のインターネット接続方法であったアナログ回線をISDN回線でデジタル化し、より高速なインターネット通信を可能にしました。
ISDN回線廃止の背景
通信速度の速い回線の普及
ISDN回線は安定性が高い一方で、通信速度が遅く高価です。
近年普及している光回線は高速かつ安価であるため、現在は通信の中心となっています。
回線設備の老朽化
中継交換機や信号交換機等の設備が老朽化し、インフラの維持が困難と判断されました。尚、アナログ電話網の交換機は2025年に寿命を迎えると推測されています。
固定電話回線の減少
NTT東西の発表では、固定電話の契約数は1997年で6270万件、2017年で2042万件と約67%減少しています。固定電話サービスの維持コストを削減すべくIP網に切り替えることで交換機等の運用負担を軽減する狙いがあります。
ISDN回線廃止による食品業への影響
EDI(電子データ交換)
BtoB取引における発注・納品・請求書など専用回線やインターネットを利用して受発信するEDIは、大規模な店舗やチェーン店でよく利用されています。ISDN回線を利用しているEDIの場合、廃止によってデータが反映されない、業務システムとの連携が取れなくなる等の問題が発生する可能性があります。
POS(販売時点情報管理)
商品の在庫数や売れ筋などリアルタイムで把握できるPOSは、今やスーパー・小売店では当たり前に利用されています。しかし、企業によってはPOSレジにISDN回線を使用している可能性があり、ISDN回線廃止によって会計データの集計が出来なくなることがあり、商品の発注などに影響を及ぼす可能性があります。
食品企業が備えるべき対策
インターネット回線を利用したEDIへ切り替え
ISDN回線の廃止は既に決定されていますが、廃止による影響範囲が広いことが問題となっています。このため、NTT東日本/西日本は廃止に際して、影響を少しでも小さくするために「切替後のINSネット上のデータ通信」(補完策)を2027年頃まで提供することを表明しています。しかし、NTTは「現行の通信とは品質が異なる」「利用機器によっては処理時間が増加する恐れがある」と発表していることから、現在の処理速度を基準とした場合、業務が成り立たなくなる可能性が指摘されています。
現在の処理速度を保ちながら業務を継続するためには、ISDN回線が廃止となる前にインターネット回線を利用したEDIに切り替える必要があります。
また、ISDN回線は最大通信速度が64kbpsですが、光回線では最大100Mbps~1Gbpsと速度が桁違いです。通信コストもISDN回線より安価というメリットがあります。
切り替えの際には取引先との調整が必須となります。取引先とのEDIで互換性がなければ、データ通信が出来ないためです。
Web-EDI業務自動化で業務負担を軽減
2024年まで、まだまだ余裕があると思われがちですが移行の準備は早めに済ませておく必要があります。データ通信システムの切り替え作業は、業務に支障が出ないよう新しいシステムでの綿密なテストを行い、それらの使い方を従業員へ指導し、業務フローの再検討を行うなど、想定よりも多くの時間を要するためです。移行の計画は余裕をもって立てましょう。
特にWeb-EDIを使用し始めると、従来の業務よりも単純作業が増え担当者の負担が大きくなるケースがあります。大量かつ単純な作業で作業効率の低下が危ぶまれる場合は、自動化ツールの検討も合わせてお勧めします。
内田洋行ITソリューションズが紹介するRPAツール「Autoジョブ名人」「EOS名人.NET」は、Web-EDI/EDI受発注業務の効率化を支援します。ブラウザ操作における手間やミスを削減するほか、JCAや全銀手順、流通BMSへ対応しているので基幹システム更新時でもEDIシステムを継続運用することが可能となります。
・NTT東日本「 法人のお客さまへ 」