食品安全マネジメントシステム(FSMS)とは? ISO22000/FSSC22000概要まとめ

公開日:2022.05.30
更新日:2024.09.07

食の安全最前線、FSMS総まとめ

2020年のHACCP義務化以後、より高いレベルの食の安全が求められています。事業者様にとっては負担が大きくなりますが、食に携わる以上、安全のための仕組みづくりは避けて通れません。本稿ではFSMSについて、成立の背景や規格も踏まえて解説しています。

食品安全マネジメントシステム(FSMS)とは?

食品安全マネジメントシステム(FSMS)とは、Food Safety Management Systemの頭文字を略したもので、安心・安全な食品を消費者に届けるために、食品に潜むリスクを理解し、それらを低減していくための仕組みを指します。食の安全性を保つためには、従業員個人レベルで注意するだけではなく、組織全体でこうした仕組みを構築することが肝要です。

グローバル化した社会で通用する食品安全規格として、国際標準化機構(International Organization for Standardization)が定めたISO 22000やFSSC22000財団によって開発されたFSSC 22000などがあります。いずれも食品の製造・加工工程での汚染を防ぐガイドラインであるHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)を基にして、生産現場から最終消費者に至るまでのすべてのフードチェーンをマネジメントできるよう追補されています。ISO22000/FSSC22000では、満たさなければならない要求事項が具体的に明示されており、認証機関からの審査にパスすると登録証が発行されます。

FSMS

ISO22000・FSSC22000認証取得のメリット

消費者、取引先からの信頼、優位性の確保

  • 安全・安心な製品・サービスを提供できる仕組みの確立により、消費者からの信頼性が向上
  • 安全・安心な製品・サービスの提供をPRでき、国際的な取引でも優位に
  • サプライチェーン全体の危機管理コミュニケーションが円滑に

業務効率の継続的な改善、円滑化、組織体制の強化

  • 食品安全ハザードの明確化により、工程トラブル・クレームへの予防措置を図ることができる
  • 組織の理念・方針を社内に浸透させ、食品安全に対する意識改革に寄与
  • 食品安全に関する意識、力量が向上し、リスクを低減
  • 製造工程の可視化により、ムダが省かれ、作業効率が向上

FSMSの種類

ISO22000

ISO22000は、食品に関連する企業を対象に、安全な食品を製造する仕組み作りの方法を記載したものです。HACCPによる衛生管理手法を基礎として、消費者に安全な食品を提供するための食品安全マネジメントシステムの確立を目的としています。食の安全を脅かすリスク因子をコントロールし、安全なフードサプライチェーンの確保を目指す国際規格です。

【ISO22000の特徴】

ISO 22000は、次の4つの要素を組み合わせ、要求事項を明示しています。

  1. 相互コミュニケーション(互いに連絡を取り進めること)
  2. システムマネジメント(仕組みで保証すること)
  3. 前提条件プログラム(安全衛生条件を維持するために必要な基本条件+活動すること)
  4. HACCP(7原則12手順により食の安全を確保すること)

認証取得の効果としては「食品の安全な提供に関するリスク低減を可能にする」、「業務を効率化し組織体制を強化する」、「仕事の見える化による業務承継を円滑化」、「継続的な業務改善を行うことで企業価値を向上させる」、「法令順守の推進を可能に」、「海外企業を含む取引要件を達成する」などが挙げられます。

FSSC22000

FSSC22000とはFood Safety System Certification 22000の略で、FSSC22000財団によって開発され、GFSI(Global Food Safety Initiative)により食品安全の認証スキーム(体系的な計画)のひとつとして承認された規格です。

FSSC22000は、「ISO22000」+「前提条件プログラム(PRP;Prerequisite Program)」+「追加要求事項」の3つの要求事項から構成されています。「ISO22000」を基本的な食品安全マネジメントシステムとして据え、詳細な一般衛生管理の要求事項として「PRP」を加え、さらに時代と共に変化する食品安全の要求項目を「追加要求事項」として補完している、といったイメージです。ISO22000の発展強化版と捉えればわかりやすいでしょう。

FSSC22000

食品安全マネジメントシステム取得で品質向上

食品安全マネジメントシステムの導入・規格の認証を取得することは、フードチェーンの安全・安心を確保するために重要なことです。

ISO22000やFSSC22000以外にも、日本国内では市区町村や都道府県によるHACCPの認証も行われていますが、規格認証を取得する場合は「どのような顧客をターゲットにするのか」ということから「規格の取得が重荷にならないか」までを総合的に考慮したうえで検討したほうがよいでしょう。

安全のための仕組みを構築したい、ISO22000/FSSC22000についてより詳しく知りたい事業者様には、無料のPDF資料を別にご用意しました。下記バナーからダウンロードいただけますので、ぜひご活用ください。


よくある質問

Q.FSMCはなんの略ですか?
A.FSMSとはFood Safety Management Systemの頭文字を略したもので「食品安全マネジメントシステム」と訳されます。
Q.FSSCはなんの略ですか?
A.FSSCはとはFood Safety System Certificationの頭文字を略したもので「食品安全システム認証」と訳されます。
Q.FSMCとFSSCの違いはなんですか?
A.FSMSは、安心・安全な食品を消費者に届けるために、食品に潜むリスクを理解し、それらを低減していくための仕組みを指します。食の安全性を保つために、従業員個人レベルで注意するのではなく、組織全体で仕組みを構築することを目指すといった性格のものです。FSSCはFSSC22000財団によって開発された、FSMSの規格のひとつです。
Q.FSMCとHACCAPの違いはなんですか?
A.HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)は食品の製造・加工工程での汚染を防ぐ国際的なガイドラインであり、FSMSの規格であるFSSCに取り込まれています。FSSCはHACCPを基に生産現場から最終消費者に至るまでのすべてのフードチェーンをマネジメントできるよう追補されています。
Q.FSMAとはなんですか?
A.食品安全強化法(Food Safety Modernization Act、以下FSMA)の略で、米国で2011年1月4日に制定された食品安全に関する法律です。FSMAは米国内に流通する輸入食品にも適用されるため、米国向けに輸出する日本の食品関連事業者にも対応が迫られています。
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