遺伝子組換え表示制度とは
安全性が確認された遺伝子組換え作物とその加工食品について、食品表示基準に基づき、表示ルールが定められています。この表示ルールが「遺伝子組換え表示制度」です。
遺伝子組換え食品とは、別の生物の細胞から取り出した有用な性質を持つ遺伝子を、その性質を持たせたい植物等の細胞の遺伝子に組み込み、新しい性質を持たせる技術を用いて開発された作物及びこれを原材料とする加工食品です。国内で流通している遺伝子組換え作物は、食品衛生法(昭和22年法律第233号)に基づく安全性審査を経ています。
遺伝子組換え表示制度 改正ポイント
これまで、分別生産流通管理をして、意図せざる混入を5%以下に抑えている大豆及びとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品には、任意表示として「遺伝子組換えでない」等と表示することができました。
新制度では、使用した原材料に応じて2つの表現に分けることにより消費者の誤認防止、選択機会の拡大につながります。(関連記事:2023年4月1日施行 新たな遺伝子組換え食品表示制度と事業者に求められる対応)
現行制度 | 分別生産流通管理をして、意図せざる混入を5%以下に抑えている大豆及びとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品 | 「遺伝子組換えでない」等の表示が可能 |
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新制度 | 分別生産流通管理をして、意図せざる混入を5%以下に抑えている大豆及びとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品 | 適切に分別生産流通管理された旨の表示が可能 「分別生産流通管理済み」等(施行前でも表示が可能) |
分別生産流通管理をして、遺伝子組換えの混入がない(不検出)と認められる大豆及びとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品 | 「遺伝子組換えでない」等の表示が可能 |
新しい任意表示制度あるあるQ&A
改正後の食品表示基準が施行されたら、それまでに製造した在庫は処分しなければならないのでしょうか。
改正後の食品表示基準の施行前に現行制度に基づいた表示をした食品(例えば、倉庫にある商品在庫)については、施行後も販売することができます。
ただし、施行後に古い「遺伝子組換えでない」の表示(=意図せざる混入が5%まで許容)が流通することは消費者の正しい選択を誤らせるおそれがありますので、事業者は可能な限り施行前までに改正後の食品表示基準に即した表示への切替えを行うよう推奨されています。
改正後の食品表示基準の施行前に作った包材を引き続き使うことはできますか。
改正後の食品表示基準の施行後に使用する容器包装には、改正後の食品表示基準に即した表示をする必要があります。
例えば、適切に分別生産流通管理を行っているが、遺伝子組換え農産物の意図せざる混入がないことまでは担保できない農産物を使用する場合は、適切に分別生産流通管理された旨の表示をしてください。
「遺伝子組換えでない」と表示するための条件を教えてください。
適切に分別生産流通管理を実施し、遺伝子組換え農産物の混入がないことを確認した非遺伝子組換え農産物及びこれを原材料とする加工食品には、「遺伝子組換えでない」と表示することができます。
遺伝子組換え農産物の混入がないことの確認方法としては、第三者分析機関等による分析のほか、以下を証明する書類等を備えておくことなどが考えられます。
- 生産地で遺伝子組換えの混入がないことを確認した農産物を専用コンテナ等に詰めて輸送し、製造者の下で初めて開封していること
- 国産品又は遺伝子組換え農産物の非商業栽培国で栽培されたものであり、生産、流通過程で、遺伝子組換え農産物の栽培国からの輸入品と混ざらないことを確認していること
- 生産、流通過程で、各事業者において遺伝子組換え農産物が含まれていないことが証明されており、その旨が記載された分別生産流通管理証明書を用いて取引を行っている場合
施行までに食品表示基準対応のご準備を
改正後の食品表示基準は2023年4月1日に施行されますが、それまでの間が表示切替えのための準備期間とされています。施行まで1年以上の期間がありますので、事業者の皆様におかれましては、消費者へ正確な情報を提供するために早めの表示切り替えが推奨されます。
【参考】
・消費者庁「知っていますか?遺伝子組換え表示制度」